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怪狩り  作者: 大和煮の甘辛炒め


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選別試験編(後編)

上ノ八、皮伸はへらへらしているが炎輪と鳴村は生まれて初めて本物の威圧を感じた。


「皆を逃がさないと」


 炎輪が言うと鳴村も同調する。


「俺も賛成だ。ここの中にいるやつ全員死んじまう」


 皮伸は腕を八本に増やし、それを二人のほうへ伸ばした。


「やべっ!」


 二人は素早く飛び退いた。


「遊びがいが有りそうね」


 八本の腕が二人を襲う。炎輪が右から伸びてきた腕を斬った。


「水下・疾打!」


 しかし斬ったはずの腕はすぐに再生してしまった。


「攻撃が効かない!?ナリ本部から一柱を呼んできて!」


「わかった、死ぬなよ!」


 鳴村は出口へ走っていった。炎輪はちらりとそれを見てまた前を向いた。目の前で何かが閃く。炎輪は咄嗟に後ろに回転して避けた。


 地面が抉れ、土煙があがる。


「もしかして糸?」

 

 皮伸が笑いながら言う。


「私は自分の皮質を利用して色々なことが出来るのよ」


 炎輪は刀を構え直した。実戦経験も無いなか、上ノ八と交戦するのは自殺行為だ。でもやらなければ、ナリが戻ってくるまで。炎輪は飛び出した。


「水下・渦嵐!」


 物凄い勢いの斬擊が地面を抉る。皮伸はそれを避けると右足を伸ばして炎輪を蹴り飛ばした。間髪いれずに糸の攻撃が飛んでくる。


「水下・瀑落!」 


 炎輪は糸に刀を振り下ろした……パキンッと嫌な音がした。


「えっ、そんな…」


 刀が折れた。根本から三十センチぐらいの所から先がなくなっている。雪降の言葉を思い出す。


『隊員のもつ武具は一度破損すると修復されるまで脆くなる』


 不味い不味い、刀が折れるなんて信じられない。ナリ、まだなの?


「こっちまで来ないと私を倒せないよ?」


 皮伸が手招きする。このまま飛び込んだって糸でバラバラにされておしまいだ。避けれたとしてものびる手足がある。どうすれば……。炎輪は深呼吸した。


「私は炎輪千花!お前を倒す!」


 皮伸は驚いた様子でこちらを見る。


「水下…」


 身体を大きく捻り、足を後ろに引く。

流觴曲水りゅうしょうきょくすい!」


 物凄いスピードで肥伸に迫る。皮伸が糸を繰り出す。しかし、炎輪の回転斬りが糸を絶った。


「斬れた!」


 皮伸が自分のことかのように感激した。


「遊びじゃ千花ちゃんに失礼ね、準備運動しなくちゃ」


 その言葉に炎輪は絶望した。


「まだ本気出してないの…?糸で身体が傷つく…」


 あり得ない量の糸が放出される。糸は青色に光っている。糸はあっという間にまゆになり、炎輪を包み込んだ。


『無理だ、私にこの糸は斬れない…』


「なーんだ、その程度か」


 皮伸がつまらなさそうに言う。


『私、死ぬんだ…』


 そう思った時、炎輪の脳裏に彼女が小さい頃の記憶が甦った。―それは炎輪が両親と遊園地に遊びに行った時のことだ。淡いオレンジの七支刀を持った父が暴れる怪使いを一撃で斬り伏せたのだ。刃は炎の桜の花びらを纏い、熱風を放っていた。父はその後、幼い炎輪にこう言った。


「千花もいつか俺と同じような力が使えるようになる。そしてそのときが来たらきっと、怪使いはこの世からいなくなる」


 当時の炎輪にはなんのことやらさっぱりで、十年前に両親が怪使いに殺されてからはもう一度も思い出さなかった。しかし今はっきりと思い出した。今ならできる!次の瞬間、炎輪は無意識に叫んでいた。


「日輪・焔光!」


 燃え盛る刀身が糸を焼き斬る。持っていた刀が七支刀になっている。皮伸は驚いて後ろに跳びすさる。炎輪がそれを猛追する。


 皮伸が糸を繰り出すが、炎輪は構わず走り続ける。跳びはね、回転しながら糸を薙払っていく。皮伸の顔に焦りが見える。炎輪はあっという間に肥伸の間合いに入り込んだ。


『さっきとは比べ物になら無い程桁違いにスピード、パワー、反射神経があがっている!こいつ何なんだ!』


 皮伸は殴ろうとしたがそれより速く刃が腕を斬り落とし、頸に食い込む。


『不味い、殺られる!』


 何とか逃げようとするが、身体が思うように動かない。炎輪は全て終わらせるつもりで叫ぶ。


「日輪」


 皮伸の目に恐怖が浮かぶ。


「焔光・炎桜!」


 七支刀が炎の桜に包まれる。


「これで最後だ!」


 炎輪が刀を振り抜いた。激しい爆風が巻き起こり、炎の桜が舞い上がる。本部から隊員を連れてきた鳴村も思わず感嘆のため息をつく。


「すげぇ…」


 皮伸は燃やし尽くされた。炎輪も吹き飛ばされて気を失った。

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