夢囚人の名探偵~回命時計の使い方~
この作品は、「第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞」の応募作です。
テーマは「時計」。
夢の中に囚われている少女「夢路 醒」が奇妙な依頼を解決します!
「夢路 醒」の2作目です。1作目は「なろうラジオ大賞2」で投稿した「夢囚人の名探偵~夢路 醒の事件簿~」になります。1作目を読まなくても支障はありませんが、宜しければ1作目もご一読お願いします。
「探偵さん、助けて下さい」
突然現れた人物を「夢路 醒」は警戒しつつ観察した。
かろうじてスーツと思える部分が残っているだけのめちゃくちゃなアレンジの服を着て、困り眉をしているが、口元は笑っている。
「大して困っているようには見えないけど?」
「命を落とす必要のない人間が3人も死んでしまって大変なんですよ」
醒は溜息を吐いたが、諦める様子が無いので、その人物「ハザマ」の話を聞く事にした。
「それで私は何をしたらいいの?」
訝しむ醒に、ハザマは奇妙な時計を見せた。
「これは過去の運命を改変できる『回命時計』というのですが、これで運命を変えて欲しいのです。但し、使えるのは一回きりです」
「何よそれ?」
「まあまあ、夢なんですから良いじゃないですか」
そう、ここは夢の中。醒は夢に囚われた少女なのである。
(死人を生き返らせるのは探偵の仕事じゃないわ)
依頼を断ろうとも思ったが、不運な3人の為に引き受ける事にした。
「1人目は誰?」
「清掃員が通り魔に刺され出血死」
「2人目は?」
「警官が交通事故で即死」
「3人目は?」
「弁護士が手術が間に合わずに死亡しました」
醒はそれぞれの状況を夢を使って確認すると、いつものソファに座り、紅茶を飲みながら考えを巡らせた。
「回命時計の使い方は決まりましたか?」
ハザマが尋ねる。
「警官よ」
「警官を交通事故から救うのですね?」
「違うわ」
醒は言った。
「警官を清掃員を襲われる現場に向かわせる。そこで通り魔を逮捕できれば、その追跡で交通事故は起こらず、事故のせいで救急車が遅れて弁護士が死ぬ事もないわ」
「あ、良く気付きましたね」
「あなたは死ぬ予定のない人間と言ったわ。本来なら3人共生きている筈でしょう?」
それを聞いたハザマの口元はより笑っているように見えた。
「お蔭で助かりました」
礼を言うハザマに醒は尋ねた。
「ねえ、あの3人は本当に生きてるの?」
「目の覚めない貴女には関係ありませんよ」
ムッとする醒にハザマは言う。
「貴女が夢の世界だと思っているココは、他の境目とも繋がっていて色んなモノが通りますから、気を付けた方が良いですよ」
「ご忠告どうも」
「では、ごきげんよう」
ハザマがどこかに消えた後、訳の分からない依頼人はもうごめんだと思いながら、夢路総合病院の眠り姫は新しい紅茶を口にした。
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