表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Re:D.A.Y.S.  作者: 結月亜仁
47/116

一方

******


「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ…」


誰かの荒い呼吸が、耳元で聞こえた。


自分の心臓も、ずいぶん早く脈打っている。息を吐いて、吸って、吐いて、吸って。ゆっくりと。胸に手を置いて、鼓動を落ち着かせる。


いくらかの沈黙の後、ゲンが口を開いた。


「おい、皆、ケガ、ないか?」


初めに皆の安全を確認するところは、いかにもゲンらしいと思う。でも、今はそれどころじゃないかな、と思ってしまった。


「あたしは大丈夫だけど!ユウ君が!ユウ君が落ちちゃった!」


そうだ。ミコトが心を乱している。それもそうだろう。ユウトはミコトを巻き込まないように自分を犠牲にして、空いた穴に落ちてしまったのだから。


それを助けられなかった自分に、責任を感じているのだろう。


ミコトは今にも泣き出しそうだ。彼女は自分のせいで仲間に危険が及ぶと、どうしても周りが見えなくなってしまう。彼女が仲間思いの優しい性格なのはわかるけど、それが良くない場合もある。


「ミコト、まあ落ち着けって…」ゲンがミコトの肩に触れて、慰めている。


ちらと、コウタを見た。コウタはいつもうるさいくせに、押し黙っている。たぶんコウタも、自分が悪いと思っているのかもしれない。ユウトがコウタを庇わなかったら、ああはなっていなかったはずだから。


あんたのテンション高いところは、こういう時に必要なんだけど。と口には出さなかったが、胸中で呟いた。


はあ、と溜息が出た。


そういう自分はどうなのだろう。頭は回っている。動揺もしていない。周りも見えている。


こんな時に平然としていられる自分に、少し嫌気が刺した。皆より、慣れている、という理由もある。けれど、それは良いことなのか。慣れることで、感情が鈍くなっているのかもしれない。


でも今回は、それだけじゃない、と私は思った。


「ミコト、回復役のあんたがそれじゃ、どうにもなんないでしょ?」

「で、でも、ハルカちゃん…!あたしの手が届いていたら…!」


「ほら、見てみて」私はコウタを指さした。「コウタ、あんた左腕、ケガしてるでしょ?」


コウタはびくっと身じろぎをした。隠しても無駄だ。さっきから、左肩が下がっている。


「…ホントだ!ごめん!全然気が付かなくって…」ミコトがコウタに駆け寄ると、コウタはふいっとそっぽを向いた。


「いいよ、こんくらい。平気だって」

「あんた、変なとこで意地張らなくていいから。ミコト、治療してあげて」

ミコトは静かに頷くと、一枚の式紙を取りだして、コウタの腕にかざした。


これで、ミコトも少しは落ち着くはずだ。あとは。


「悪い、ハルカ。俺…」ゲン視線を足元に落としながら、私に言い寄った。


「ちょっと、ゲンまで何しょぼくれてんのよ。シャキっとしなさいよね」


私はゲンの背中を掌でバン、と叩いた。これだから男ってやつは。ゲンは鎧を着ているから、ちょっと手が痛い。


「お、おう、ありがと。…で、これからどうする?」ゲンは一瞬驚いていたが、すぐに真剣な目になった。


「そうね…、まず、あいつをなんとかしなきゃね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ