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5.朝はテンションが低いものなのよ

「ランクルと婚約を解消するのですね!ならばこの屋敷に滞在する理由もなくなります。是非、我が家にいらして下さい」


朝っぱらから瞳を異様にギラギラさせて捲し立ててきた来訪者は、ギュナイルである。


「荷物も少ないですし一度で済みそうですね」


ルンルン♪という効果音まで聞こえてきた。いや、幻聴である。


「私は、まだ何も言ってないし。とりあえず此処から移動する気はないんだけど」

「そんなっ」


情けない顔をしていても美人は得だわね。というかリアクションが下手過ぎる。それに仕事はどうしたのかしら?


「ギュナイルが優秀とは聞いているけど、そんなんで国や民を守れるのかしら?」

「え? 私はカナだけをお護りします!」

「いや、自分の国を守んなさいよ」


陛下、本当にこのような人物を雇って大丈夫ですか?


「なんか、下が騒がしくない?」


ギュナイルの相手をしながら朝食を食べ終えてデザートに取りかかろうとした時になにやら言い合う声が聞こえてきた。どうやら一方的に騒いでいるのは女性の声である。


「あぁ。そうですね。こんな早くに非常識な」

「どの口が言っているんだか」


コンコン


「……はい」


なんか嫌だなと思えば、ドアがノックされたので、返事をするのは止めようかとも思ったが、ギュナイルと二人きりでソレをしたら、何か不本意な方向へと妄想されそうなので、仕方なく返事をした。


「カナ様、早朝から申し訳ございません」

「大丈夫です。ちなみに用件は、階下の声に関係しています?」


メイドのシエナちゃんは、眉間に皺を寄せ困り顔である。ちなみに歳は16才。ド派手なピンクの髪と赤い瞳の女の子である。派手なんだけど内気な性格なのか、外見とのギャップがまた可愛い。


「あの、ライン様は不在の為お取次ぎは出来かねますとお伝えしているのですが、どうしてもカナ様にお会いするまで帰らないと仰っておりまして」


なんか、分かっちゃったな。


「そのお客様とやらは女の子で、このノージス家と同格の家柄の方かしら?」

「は、はい」

「ならばヴィトルン家ですね。確か年頃の姉妹がいらしたはず。姉の方は隣国に嫁いでいますから妹の名は……リリー嬢」


ギュナイル、貴方の特技は記憶力の良さだったのか。


「ギュナイルの特技は置いといて、そのリリーさんは、私に会いたいの?当主のラインさんではなくて?」

「はい。聖女様と」

「まだサッムイ呼び方が消えてないのか!」


私の苛立ちに二人は半歩下がった。


いや、君達だって私の立場になれば、絶対に引くから。


「んー、仕方がない。会うわ」

「私が言うのもなんですが、問題になるような事は避けるべきかと思うのですが」


そりゃあそうよね。


「でも、まだ騒いでるみたいだし。それに粘着質系だったら、一回会っておしまいにしたいわ」


嫌なものは先に済ます。


「流石にこの部屋には入れたくないから下に行けばいいかな?」

「はい。ご案内致します!」

「お願い」


ホッとしたような複雑な顔をしたシエナちゃんを先頭に手櫛で髪をさっと直しながら階段を降りていく。


「なんでギュナイルまでついてくるの?」

「不安しかないからですよ」


随分な言いようねぇ。


「安心しなさいよ。胸ぐらを掴んだりなんてしないから」


まぁ、相手の出方にもよるけど。


「カナ、既に悪い顔になっているので説得力がないですよ」

「ギュナイルは、最近かわいくないわねぇ」

「なっ」


一気に顔に赤みを帯びさせたギュナイルは、なかなか可愛い。


コンコン


そんなお喋りをしていたら目的地に到着したようだ。


「失礼致します」


シエナちゃんの誘導でお嬢様が待っている部屋へと数ミリの好奇心と共に足を踏み入れた。


「初めまして。かなです」


さぁ、お嬢さん。楽しくお喋りしましょうか。







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