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彼女に振られるといじらしくてかわいい少女を養う事になるらしい  作者: ネコクロ


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第28話「唐突に」

 今まで父さんの事を酷く言っていた事で顔を合わせられなくなったのか、神楽坂さんは俺の膝の上に覆いかぶさって顔を上げようとはしない。

 嘘泣きはすぐに泣きやんだものの、これはこれでちょっと問題といえる。

 仕方ないのでサラサラと触り心地のいい髪の上から頭を撫でると、神楽坂さんは気持ち良さそうに熱い息を吐いてしまい、それがズボンの上から俺の肌に触れていた。

 

 ただ、意外と思われるかもしれないけど、俺はこういうふうに甘えられるのは好きなタイプなのでちょっとかわいいなぁっと思っているのはここだけの話。


「まぁ多分分かっているとは思うけど……あの人がニヤついているのとかは邪な意味はないんだよ。ただ、ああいう顔付きというか、そういうものだと思ってほしい」


 若干膝枕状態の神楽坂さんの耳元に口を寄せて小さくささやくと、神楽坂さんはピクンッと一回体を跳ねさせた後コウコクと頷いてくれた。

 耳とかが赤くなっているのは、勘違いから色々と言っていた事を恥ずかしいと思っているのかもしれない。


「――ほんと仲いいのね、二人とも」


 膝の上の神楽坂さんに構っていると、先程まで笑顔を引きつかせていた佳純さんが元の優しい笑顔に戻っており、ニコニコと嬉しそうに俺の顔を見つめていた。

 確かに、神楽坂さんの言う通りこの人は能天気だと思う。

 普通話している最中に神楽坂さんがこんな態度をとれば何かあると思うだろうに、一切疑っている様子はない。

 また、若干見方によっては目の前でいちゃついているようにも見えるのに、それを気にする様子もなかった。

 これは神楽坂さんが心配するのもわかるレベルだ。


「う~ん……貴明、お前遊びとかそういうんじゃないよな?」


 しかし、父さんは一応まともな部分はまともなので、高校生と付き合っているという僕に確認をしてきた。

 もうすぐ佳純さんと再婚をするのなら神楽坂さんの親にもなるという事だし、そっち目線での確認でもあるのだろう。


 さて、どうしようか。

 神楽坂さんが先に明言をしてくれたせいで、今更否定をすると二人に悪い気持ちを抱かれるのは目に見えている。

 だけど正直に話そうものなら父さんを傷つけてしまい、今後一緒に暮らす可能性が高い神楽坂さんと父さんに深い溝を作ってしまう可能性は高い。

 ほんと、この子は何を先走ってくれたのか……。


 視線を膝の上の神楽坂さんに向けてみれば、いつの間にかとても緩んだ幸せそうな顔をしていた。

 さっきまでの嘘泣きはどこに行ったと思うほどの顔の緩みようと、このめんどくさい状況を作っておきながら他人ごとみたいな態度をとっている事に若干イラッときたので、頬をツンツンと突いてやる。

 すると神楽坂さんは嬉しそうに更に頬を緩ませた。


 なんだ、この子……頬を突かれているのに逆に喜んでいないか?

 もしかしてMなのかな?


「貴明?」

「あっ……うん、遊びじゃないよ」


 神楽坂さんに気を取られていると父さんが若干剣を帯びた声で名前を呼んできたので、俺は咄嗟に頷いてしまった。


 しまった、と思ったのはもう後の祭り。

 ここで俺までもが認めてしまったせいでもう後戻りは出来そうになかった。


 ……仕方ない。


「ねぇ、神楽坂さん。もう家出をする必要がないから、家に帰るよね? だったら俺たちの関係も終わりなのだから、ここで恋人じゃないと撤回したい。話、合わせてくれるよね?」


 一度認めてしまった以上後から否定するのは心証に悪いのだけど、二人してちゃんと説明すれば納得はしてもらえるはず。 

 ここで恐れなければいけないのは、俺が否定したのにもかかわらず神楽坂さんが恋人だと主張する事だ。

 そうなれば父さんも佳純さんも俺が高校生である神楽坂さんの気持ちを弄んでいると捉えるだろう。

 一般社会人の男と高校生の女の子、世間が信じるのはいつだって高校生の女の子の主張なのだから。


 しかし、正直あまり心配はしていなかった。

 なんせ神楽坂さんがもう俺の家に居候する必要はなくなったのだ。

 だから神楽坂さんが恋人関係に拘る必要はなくなっており、ちゃんと俺と一緒に否定をしてくれるだろう。


 ――と思ったのだが、神楽坂さんは頬を膨らませてプイッとソッポを向いてしまった。


「あれ、神楽坂さん? 返事は? なんでソッポを向くの?」

「なんの事か知りませんけど、私はお兄さんの恋人です」

「いや、あのさ、それは佐奈を説得するための方便だったよね? もう必要ないんだよ?」

「知りません、私はお兄さんのお家に住むのです。お兄さんはそれを認めてくださったのに、今更約束を反故にするのですか?」


 う~ん……なんだかわからないけど、神楽坂さんが意気地になっている。

 ギュッと俺のズボンを握って譲る気がないと全身から物語っていた。


「もしかしてまだ父さんの事を信用出来ないと思ってる?」

「そうではありません、そうではないのです」

「だったらどうしたの?」


「……お兄さんの事が……好きだから……。だから……一緒に暮らしたいのです……」


「えっ!?」


 唐突に行われた告白。

 予想外過ぎる言葉に俺は思わず素っ頓狂な声を大きく出してしまった。


「どうした貴明? かぐやちゃんと何を話しているんだ?」

「あっ、いや、なんでもない。うん、なんでもないというか恋人だけの話だから入ってこないで」


 さすがに恋人と言っておきながら今しがた告白をされたと正直に話すと色々とおかしい事がバレてしまうので、俺は笑顔で誤魔化しながら再度視線を神楽坂さんに向ける。

 すると神楽坂さんは顔を真っ赤に染めており、恥ずかしいのか両目には涙を浮かべていた。


 冗談じゃない、という事だよな?

 えっ、会って二日しか経っていないのに本気で好かれているの?

 待ってさすがにそれはおかしくないか?


「ごめん、ちょっと二人だけにさせて」


 この話はここでしていい物ではないし、ましてや流してもいい話ではないと思った俺は、神楽坂さんを抱きかかえてすぐに部屋を出て行くのだった。


「――あらあら、青春ねぇ」


 なんだか後ろでは佳純さんが嬉しそうな声を出していたけど、あの人本当に呑気だな、と俺は思うのだった。

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