表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女に振られるといじらしくてかわいい少女を養う事になるらしい  作者: ネコクロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/30

第18話「繋がり」

 神楽坂さんはやはりよくわからない子で、抱き着いている俺の腕になぜか時々頬ずりをしてくる。

 そしてハッと我に返ったような表情をしたかと思えば、慌てたように俺の腕から頬を離してそっぽを向いていた。

 さっきからずっとこの繰り返しだ。

 この子は一人でいったい何をしているのだろうか?


「あのさ――」

「――おっ、ゲロの兄ちゃんじゃないか」


 神楽坂さんに声をかけようとした時、何処からか野太い声が聞こえてきた。

 声がしたほうを見れば、ガタイのいい四十歳くらいのおじさんがニヤニヤと俺たちのほうを見つめながら近寄ってきている。


 見覚えがあるような、ないような――はて、何処かで会った事がある人だろうか?


 記憶が曖昧になっており、俺はおじさんと会った事があるのかどうかわからなかった。

 何処にでもいるような顔付きではないし、誰かに似ているとかでもなさそうなため、見覚えがあるとすれば会った事があるという事なんだと思うのだけど……。


 というか、さっきこの人俺の事をなんて呼んだ?


「おぉ、やっぱりゲロの兄ちゃんたち出来ていたのか。通りで通りで」


 ガタイのいいおじさんは、俺に抱き着いている神楽坂さんを見てニヤニヤとしたまま、何かを納得したように何度も頷く。

 厳つい顔をしているおじさんが女子高校生を見つめてにやついている――一つ間違えれば通報物だ。


 そして、なぜ俺は『ゲロの兄ちゃん』なんて呼ばれ方をしているのか……。


「えっと、どちら様ですか……?」


 随分と慣れ慣れしいおじさんに俺は訝しげに尋ねてみる。

 すると、おじさんは信じられないという顔で俺の顔を見てきた。


「兄ちゃん、昨日人の店の前で盛大に吐いてくれたってのに、俺の事覚えていないのかよ」

「吐いた……? 俺が……?」

「なんだ、その事も覚えてねぇのか。まぁ、大分酔ってたからなぁ」


 おじさんの言葉を聞き、俺の中で全てが一つに繋がる。

 店の前でというのはともかく、酔っていたという言葉で思い浮かぶのは昨日俺が居酒屋で飲み過ぎていた事。

 そして俺と神楽坂さんは居酒屋を出た所でも会っている。

 その辺を踏まえると、このおじさんが俺と神楽坂さんの両方を知っている態度をとっていた事も腑に落ちた。

 なんせこの人は、俺が飲み過ぎてしまった居酒屋の店長さんなのだから。


 おじさんの言葉を聞いていて、やっと俺はその事を思い出す。

 という事は、どうやら俺はおじさんのお店の前で戻してしまったらしい。

 これは申し訳ない事をしてしまった。


「お店の前で戻してしまっていたなんて、すみません……」

「いや、謝るなら俺じゃなくそこのお嬢ちゃんにだろ。ちゃんと謝ってお礼を言ったのか?」


 俺が頭を下げると、なぜかおじさんから謝る相手が違うと言われてしまう。

 どういう事だろうと思って神楽坂さんに視線を向けると、何やら神楽坂さんは困ったように慌てていた。

 こっちはこっちでいったいどうしたのだろうか?


「あ、あの、店長さん、このお話はその辺で……」


 今すぐにでもこの話をやめたそうにする神楽坂さん。

 どうやらこの話は彼女にとって都合が悪い物らしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『新作です……!』
↓のタイトル名をクリックしてください

数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました

『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』5月23日1巻発売!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック2巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック2巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
[一言] もしかして代わりに処理したのかな?だとすれば健気だなぁ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ