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異世界ニンジャグレン  作者: hubukin
第一章
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第5話 夕食

 この世界の魔法は複数の属性に大きく割り振られている。魔法使いは火、水、風、土、光、闇と6つの属性の内どれか1つだけしか魔法は使えない。


 これは魔法使いはその属性を使うというよりは、その属性に選ばれるというのが近い表現かもしれない。


 だが忍術は違った、彼の言ってたことがそのままなのであれば忍術は複数の属性を扱えることができる。魔法ではそんなことはあり得ない、1人に1つまでだ。


 それに水面を歩いき高く跳んだのは水や風を使ったのではなく肉体を強化したと言った。肉体を強化する魔法なんてこの世には存在しない。


 ユリアの考えが大きく揺らぐ、忍術はあちらの世界の魔法を言い換えただけかと思っていた。


 だがあちらには魔法は別として在り、忍術は魔法では不可能な属性の複数使用が可能なのだ。


 いや、複数使用は彼だけの能力かもしれない。ユリアはユウスケに聞いた。


「炎の属性を使うのに水や風も属性を複数使えるなんて、ところで属性を複数使用できるのはイズモさんだけですか?」


「いや、みんな複数使えるよ、俺より上手いやつらなんてごまんとおるからな」


 あっさりと否定され、それを使える人はもっといると聞かされたユリアはショックを受けて何やらブツブツと小さく独り言を始めた。


 ユウスケは意味がわからず首を傾げるも、彼女の気は放っておこうと決めて家に歩き進んだ。


 町の少し外れの草原の中に平屋が一戸だけ建てていた。


 ユリアは「家はここですからもう着きましたよ」と報告すると、ユウスケはそれを聞いた途端、「よっしゃ~~~っ」と緊張感のない声を上げて背伸びをし、鼻歌を交じりながら軽いスキンシップをとった。


 本当に異世界人なのか彼は?


 ユリアは緊張の欠片を感じない彼の態度に少々疑問を抱く、今はもう日が暮れており星空が少し出始めているのでとりあえず気にしないことにした。


 ユウスケはユリアに「カラクリ馬を元に戻していいか?」と尋ねて、ユリアは周辺に人がいないか見回しいないことを確認したら「戻して大丈夫です」と承諾した。


 彼は承諾を得ると馬に乗せた食べ物を手に取り、馬を元の木箱のサイズに戻した。


 2人は彼女の家の玄関に立ち、ユリアは正面のドアを開けた。


 玄関に入ると目の前にはすぐリビングに繋がっており、明かりはついておらず部屋は外の暗さも相まってか、かなり暗くなっており人気は感じなかった。


 ユウスケはユリアが先に入ると、家に人が居ることに一応念をもって「おじゃましまーーす」と軽くお辞儀しながら家に入った、それを見たユリアは。


「あっ大丈夫ですよっ私以外家族はいませんから、今からご飯を出すのでくつろいで下さい、ご飯はこの前作った残り物ですけど構いませんか?」


「大丈夫だよ、ご飯はなんでも好きだから」


 彼女は部屋に明かりを灯しながらそう言うと、台所に向かい鍋の中にある作りおきした料理を温め直した。


 ユウスケは彼女が料理を温め直してる間にリビングを見回すと、1つのタンスの上に気になるものを見つけた。


 その上には複数の写真が立てている。たぶんユリアとその家族の写真だろう。幼少時代の彼女や家族と並んで撮ったやつが立てていたが、一枚だけ他のとは扱いが違ってた。


 それはユリアに似た女性の顔写真だ。彼女と同じ美しい顔立ちをしており、写真越しからでも落ち着いた気品さが伝わってくる。


 でもその写真の両脇には花の花瓶が供えら、小さな十字架が置かれていた。


 端に置いてあったユリアとその女性とのツーショットの写真をよく見ると、男性と思しき姿が半分以上縁から外れていることが解る。


 何かを察したユウスケはこの想いを胸の奥に閉じ込め、そっと腰をテーブルのイスに座った。


 しばらく経つと、ユリアは温めた鍋の料理を掬い米を載せた平皿に入れて、それを2つ作りテーブルに持って来た。



「おまたせしましたっこの料理、イズモさんの口に合うといいんですけど」


「心配しないでよ、俺っいろんなもん口にしたからなんでも食べれるよ」


 ユウスケはユリアの心配言を払うように微笑みながらフォローし、皿を貰いテーブルに置き料理を一目見ると一言呟いた。


「これってシチュー?」


 この言葉にユリアは反応した。


「シチュー?イズモさん所の世界にもこういう煮込み料理はあるんですか?」


「まあ似たような物はこっちにもあるけど・・・・・・」


 ユウスケがこの世界に来て、初めて見て食べるとなる料理はシチューだった。


 だがシチューと言っても日本のようなとろみのあるのとは違い、とろみの少ないほぼスープに近い代物だ。


 ルーは赤くその中にみじん切りした玉ねぎや複数の野菜、ぶつ切りにのウナギが入っている。


 スープの色が赤なのは恐らくワインでこの具材を煮込んでいたからだろう。それもあってか料理からは、赤ワインの香りをほんのりと感じられる。赤ワインたけではなく、ニンニクやハーブなどの香りもしており、より美味しさを引き立とうとしていた。


 ユウスケはその味を楽しみにしながら、手を合わせて「いただきます」と唱えスプーンを手に取りルーを掬い、口に入れる。


「おいしい!これすっごくおいしいよ!!おかわりってできる?」


 シチューのおいしさに喜んだ彼は何回もルーを口に入れると、今度はごはんとルーを一緒に頬ばり「おいしい」と連呼しながらご飯にありつく。


 それを見たユリアは少し安堵し、今日のことを少し語る。


「口に合ってよかったです、それにしてもあの怪物たちをたった独りで倒したんですよね?どんな忍術を使ったんですか?」


 ユリアの言葉に相づちしながら食事したユウスケだが、いきなり手を止めて軽く首を傾げる。


 ユリアは「何を使用したんですか?」と聞く、それを聞いたユウスケは慌てふためきながら。


「思い出したーーーっアイツら!アイツらのことを言うの!!」


「アイツらって、そういう忍術で対峙したんですか?」


「いやっちがうちがう、アイツらってのは怪物のこと、後で教えるて言ったから忍術より先に教えなきゃ」


 オーバー気味なしゃべり方をするユウスケに、ユリアは少し引いたがそのオーバー気味なしゃべり方に押されて「か、怪物の件からどうぞ」と応えてしまった。


 そして彼はかなり真剣な表情で語り始めた。


「ーーーッアイツらは妖怪って呼ばれてるもんだ」


「ヨウカイ?」


「ああ、俺の世界に居てっ人間では到底為すことが出来ない超常的な力をもってる、人間ではない存在だ」


 ユウスケは話し続ける。


「それに奴らは邪気ていう嫌な気配を出して女の子を襲ってたんだ、ろくでもない連中だよ」


「それじゃあヨウカイは悪魔みたいなモノなんですか!?」


「いやっアイツらは悪魔じゃない」


 ユリアの返事にユウスケは否定した。


「妖怪ってのは神であり、悪魔であり、精霊でもあるんだ、そんな簡単に片付ける代物じゃない、かなり厄介なんだよ」


「でもイズモさんはそのヨウカイをたった独りで倒したんですよね?どうして倒すことが出来たんですか?」


「それはーーーーーーッアイツらが雑魚だったからだよ、出る邪気の量でどれぐらい厄介かは分かけど、あの中に神と並ぶ奴がいたらどうなってたか、正直判らない」


 ユウスケの出した答えにユリアは、自分が顔を強ばってたのが感じた。


 自分は妖怪を見たのは彼が倒した後の姿だ、動いてる所を見たことがないから一体どういうモノがまだ判らない。


 彼が言う神と並ぶ奴がもしあの群れに居たとしたら、自分とリリは無事に助かったのだろうか?


 妖怪という未知の存在を聞かされ怖じ気つく彼女を励ますように、ユウスケは忍術について語った。


「でも大丈夫だ、俺は自装変化の術て術を使ってどんな妖怪でも倒せるから、そんなに容易く倒れはしないよ」


 励まされたユリアは少し落ち着いて彼にある術を聞いた。


「その自装変化の術てのは何なんですか?」


「ああ、この術は肉体と忍術を極限まで鍛えると手にすることができる変身の術なんだ」


「その術を使えばヨウカイに対抗することが出きるんですね!?」


「そう、だから俺独りでアイツらを倒せたんだ、だから安心してっ大丈夫だから」


 ユリアはユウスケのことを詳しく知らない、だが彼と出逢った時からは何故か心底から信頼できるような気がしてくる。


 それに妖怪という化け物を詳しく知ってるのはユウスケ本人だけだ。


 だから今は彼の言うことをとにかく信じて頼るしかない。


「はいっわかりました、あとイズモさん」


 ユリアはユウスケに1つだけ質問した。


 「自分の世界には戻りたいですか?」


 「もちろん、元の世界に戻りたいよ」


 ユウスケが答えると彼女はあることを言い出した。


 「私といっしよに、学校に行きませんか?」


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