第3話 異世界
ユウスケはまるでこの世の終わりを直面したかのようにひどく落ち込んでいた。
無理もない、今自分は日本という国が存在しない世界のどこかに飛ばされたのだ。
スマートフォンを取り出し、調べようとしても電波が圏外になっていて繋がることはできない。
リリという女の子を助ける前、一度スマフォを開いたがその時は電波はしっかりと届いてた。
そこからリリと会うまでは100メートルぐらいしか距離はなかった。そこにもう一度戻りスマフォを開いたが電波は届いていなかった。
「俺、本当に異世界に飛ばされたのか、ここどこなんだよたくっ日本は何処へ行ったんだ」
そう言いながら頭を抱えながらため息を吐いく。
赤髪の少女とリリは彼の姿を見て心配した。
それもそのはずさっきまで子どものような笑顔を振る舞っていた彼が、ここは日本という場所ではないと知った途端に意気消沈したのだ。彼が本当に日本という異世界から来たのであれば今までの言動行動はすべて演技ではないだろう。
だとすれば今の彼は行く充ては何1つもないのだ。
でも彼にはリリを怪人たちから救って手を差し伸べてくれた、だから今度はこちらから手を差しだす番だ。
赤髪の少女はユウスケの顔を覗くかのように近づき、「あのっ」と語りかけた。
「イズモ・ユウスケさんですよね?私はユリア、ユリア・マグワイアーといいます、この娘っリリをあの化け物から助けてくれてありがとうございます」
「あっいえいえ」とユウスケはユリアからへの感謝に反応するも半分生気がないような答えが返ってきた。
彼女は彼に1つ提案をする。
「他に行くところがないんですよね?もし良かったら、少しの間私のところに住んではどうですか?」
「えっいいの?」
「はい、この娘を救けてくれたからそのお礼です、それにニホンていう異世界からここへ迷い込んだのですよね?土地感も分からず家族や知り合いがいなくて過ごすのは心寂しいじゃないですか」
「ーーーーーーッ本当にいいのか?」
「はい、なので安心して下さい、そうとしたら今から私の町に下りましょう」
ユウスケの表情が少し明るくなるとユリアは良かったと一安心した。
彼女は空を見上げ、夕暮れが起きる手前の時間帯だと気づくと。
「二人とももう夕暮れが起きるから早くここから下りないと、町まで10キロもあるから時間はかなりかかります、それにここは山だからすぐ暗くなってオオカミに襲われるかもしれません」
「今は馬を持ってないから一刻も早く町に向かないとーーー」
「馬?馬なら俺持っているよ、今出すからちょっと待ってて」
それを聞いたユリアは辺りを見渡すが馬なんてどこもいない。
馬はどこにあるかと聞こうとするとユウスケは鞄からあるものを出した。
それは片手で納めるぐらいサイズのある紅色の長方形の木箱だ。
木箱を前に放り投げ地面に着くと、箱は奇怪な音を立てながら形が変わり、馬のような姿になるとその瞬間に等身大の馬へと変貌した。
これを見たユリアは驚き、口を大きく開けて呆然した。
ユウスケはそんなことを気にせず馬の方に行き、体を優しく撫でながら。
「おおリュウマ、元気にしてたか?今からこの2人を載せて行くからな、頼むぞお前」
ユリアは呆然しながらも彼にこのことを尋ねた。
「あっあのーー、この馬ってあなたの言う忍術で出したのですか?」
「えっ違うよ、でもアンタのところの魔法ってネズミを馬に変えたりホウキに股がって空を飛んだりするんだろ?魔法だから馬を出すぐらい簡単じゃないのか?」
「ちがいます!魔法は基本そんなことは出来ません!!魔法はもっとちゃんとした原理で動いてるんです、あなたは魔法をなんだと思っているんですか!?」
ユウスケは「うーーーん」と少し考え、満面な笑みで。
「ハリーポ◯ターだな!!」
また意味の解らない単語を飛ばされてユリアは強く頭を抱える。
ユウスケはそんな彼女をよそにリリを抱きかかえて馬の背にノ乗せた。
「なあもう日が暮れ始まるんだろ?だったら早くこいつに乗って町に向かおう、こいつと忍術のことについてはその時に教えるから一緒に乗ろう」
今目の前で起きていることに悩んだって時間は進む一方、それに彼の御厚意を無駄にしたくないと思い言葉に乗って一緒に乗馬しようとした。
ユウスケが先に乗り、その後彼はユリアに向かって手を差し伸べてリードした。ユリアはそれに答えて差し伸べた手を握り、彼の後ろに跨り両腕を前腹にしがみついた。
それを確認したユウスケは自分の前に乗っているリリが馬具に掴んでいるのを確認したら。
「よしっじゃあ今から町に行くぞ!しっかり掴まってくれよ二人とも、ユリアっ道案内を頼む!」
ユリアとリリの二人が返事するとユウスケは馬に合図を送ると、馬は全力で走りだした。




