第1話 炎のニンジャグレン
炎のニンジャグレンは1人の女の子を救うために、たった1人で15人ものの怪人たちと戦っている。
ユウスケは女の子を執拗に追いかけまわした怪人たちの姿に似ている、紅い炎のニンジャ「グレン」という姿に変身していた。
変身した彼は何の躊躇もなく、武器を持ち構え向けている怪人たちにめがけて一気に走り詰め寄り、こちらから先に殴り飛ばし先手を取った。
こんなの端から見れば1人だけでこの人数の敵を同時に相手するのはあまりにも無謀すぎる。もし戦えたとしても強い者でもよくて30秒が限界だろう、そのあとは押され追い込まれ四方八方にやられるのが目に視えている。
そんなことをするぐらいなら女の子をかかえてすぐ逃げだした方が得策だ。
だがそれは強くない者だったの場合だ。
グレンは逆に1人で怪人を追い込ませていた。自分に襲いかかる無数の攻撃を一撃も受けないように避け、相手を攻撃できる隙が生まれたら首やみぞ、膝など急所を的確に狙い、必ず攻撃してダメージを与え続けた。
怪人たちと少し交戦したグレンはやつらから少しだけ距離をとり、右腕を縦にして半分だけ挙げるとブレスレットから炎が現れた。
炎はすぐ大きくなりそれは横にへと並び反りのない刀へと形を造り、炎が消えるとそこから忍刀が出現し、左手で柄を握った後すぐに右手の方に持ち替えて構えた。
グレンはすぐさまに敵陣に突撃し先頭に居たやつから順に大きく斬りかかった。
その剣撃はあまりにも素早く、怪人たちは反応出来ても手に持っている武器で防ごうとする頃にはすでに斬られている。
だがいくらこちらが相手より遥かに強くても向こうは15人もいる。これをたった一人で対処しようとすると相当な時間と体力の浪費をしてしまう。
そうなるのを避けるように相手を次の一手で片を付けることにした。
グレンは忍刀を縦に構え低い唸り声を挙げると、鍔から炎が舞い上がりその炎が刀身を軽く超えると止まった。それが合図なのだろう、グレンは忍刀を横に大きくを振り、技を呼び叫んだ。
「龍炎斬!!」
すると薙ぎ払った忍刀に付いてた炎は刀身と分離し、その炎はすぐさま大きくなり前方へと飛びながら怪人たちを全員斬り付けた。
こうしてグレンの一方的な展開が続き、怪人たち成す術もなく、全員が息倒れた。
倒れた怪人たちを見つめて小さく呟いた。
「こいつら人間じゃないのかっーーーまさかっ?」
グレンはこいつらの特性に思いあたる節があり、最悪な胸騒ぎをしていた。
そんなことより今は女の子の安否が優先だ。グレンはもう一度炎に包まれる。炎が消えるとユウスケへと戻り女の子の方へ振り向いた。
「もうあの怖いやつらは全員やっつけたから大丈夫だよ」
ユウスケは笑顔で女の子に語りかけた。
「俺の名前は出雲ユウスケっ世界一強いニンジャを目指してるからよろしく、あっあとグレンてのはさっきの紅い姿に変身した時の名前だからーーーっ」
「・・・・・・・・・」
「ーーーあのぉ君大丈夫っ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
女の子は口を硬く閉じ黙り込み自分が渡した鞄を盾にして距離を取るような姿勢に焦りだした男、もといユウスケは悩みだした。
どうしたらこ女の子に味方だと打ち解けてもらえるか、自分の鞄が我が物顔で盾に使われるのもどうにかしないとならなかった。
そもそもこ女の子は日本語が通じているのか、通じていないとしたらあの娘から見たら自分は目の前に突然と現れて、訳の解らない言葉を言いながら鞄とかを投げつけて追いかけてきた怪人に似た紅い姿に変身して暴れてはまた変な言葉を向けて詰め寄る“不審者”じゃないかと彼は疑い始める。
どうすれば自分は敵じゃないと信じてもらうか考えると彼女の子の隣には鞄とともに投げ渡した紙袋に目をつけた。
「その袋の中身は食べ物だから、それは君にあげるから全部食べていいよ!」
女の子は側にあった紙袋を開けて覗くと、その中には複数のそれぞれ形や色が異なる紙で出来た箱が入っていた。
箱の中身が気になる女の子はその中から赤くて四角い自分の手のひらよりも大きそうな紙箱を手にした。
手にした箱からは何かの匂いが溢れおり女の子はこの匂いを嗅いだ。
焼いた肉の香りだ。それもかなり香ばしくて食欲を沸かせる美味しそうな匂いである。
女の子はこの匂いに駆られるかのように少し手を急いで開けると、そこに入っているのは3つの薄く円いパンにさっきから素晴らしい匂いを出しているパンと同じ形をした肉が二枚挟まれていた。肉以外にも下から千切りしたレタスにオニオン、白いソースと薄切りしたピクルスが挟まれている。
そう、これはビ◯クマ◯クというハンバーガーである。
パンをチーズや前に食べたご飯の残り物を挟んで食べたことはあるが、ビックマックのような形と食材の位置を整えたパンを挟んだ料理を見たのはは恐らくこれが初めてのだろう。
初めてといってもこれと似たようなモノはたまに口にはしたことはある。そのためか女の子には警戒心など一切持っておらずむしろ好奇心の方が気持ちが高いようだ。
女の子は恐る恐るビックマックを口に入れる。すると彼女の表情には彷彿の笑みが浮かんだ。
相当ビックマックの味が気に入ったのだろう、頬がハムスターのように膨らむぐらいビックマックを旺盛に頬張っている。
それを見たユウスケは少しは警戒は解いてくれたと思い、肩の力をなくすと女の子の笑顔に釣られてか自分も笑みがこぼれてきた。
お互い笑顔を見せ合うとユウスケさっきのやり取りであることに気づいた。
「ねえ君っもしかして日本語解るの?俺の言っていること解る?」
女の子は口の中がモノでいっぱいのため喋らず大きく頷いた。
女の子が頷き肯定するとユウスケはまた笑顔になり。
「良かったーーっ俺は君の味方なんだ、君を助けたいんだ」
「君の傷を治したいから側に寄ってもいいかな?」
ユウスケは自分の視線をこの娘の視線に合わせるようと腰を低くし、もう一度語りかけた。
女の子は2回首を頷いて片手でこっちに座ってとジェスチャーした。
彼は女の子の支持通りの場所に座り渡していた鞄を開けて「どれだどれだ」とキズを治せるようなモノを物色し始めたたこの時。
「ここで何しているの!?」
二人は声がする方に顔を向くと、そこには赤髪の少女が立っていた。




