第13話
3人は日が半分暮れた頃、学園へ戻りヴェルデウォール学園長に会いに行った。
学園長は2人からリョウタの事情を聞くと「なんか1人増えちゃった仕事が増えちゃったわトホホ」と軽く嘆いたが、3人の安否が分かると一息着いた。
カマイタチの事件は学園にも速く耳に入っており、学園側はまだ街にいる生徒を早急に学園に戻り外出を自粛させるよう手配していた。
この街でこのような事件が起きるのは初めてで学園だけではなく警察や医療機関がこの対応に戸惑っているらしい。
それほどこの事件は街の住民に衝撃を与えていたのだ。
3人は学園長から学園外に出ないことを念押しに命じられ小屋へ向かった。
小屋に着き中に入ったユリアとユウスケは感銘な反応をする。昼間は日の光が一切入らず暗く埃だらけのどんよりした部屋は、隅まで判るほど明るく見違えていた。
この小屋に来るのが初めてのリョウタは感銘する2人を見て理解する。リョウタは先に靴を脱いで部屋に上がり腰を落として背を伸ばして喋った。
「クッカアァァァッ!やっと6日ぶりに人間らしい生活が送れるぜーー!」
「それはそうとリョウタ、お前本当に6日日山を彷徨っていたのか?」
「当たり前じゃねえか!俺はよく中世みたいな異世界で身一つ山生活して死ななかったもんだよ!!」
「いやお前は山でも普通に生きてこれるだろってか普段から家族と山の中で生活していただろ!」
ユウスケのこの指摘にリョウタは強く反応し、両腕をバレエの白鳥の泉の振り付けみたいな動かしをして激しいトーンの口調で反論した。
「いやユウスケ俺は家族と過ごしてた時は人間らしい生活を送ってた、だがこの世界に来てからお前に会うまでは山で野生児そのものの生活を強いられていたんだ!!」
「だからお前も1週間、野生児生活を送っていたなら解るはずだ」
「いや全然送ってないけど俺」
「そうだよな全然ンハアアァァン!!??」
自分が思っていたユウスケの返事が真逆で返ってきたことにリョウタはオーバーな反応をして、その反応にユリアは一瞬肩を上げて驚いたが当のユウスケ本人は何も驚くことはなくこのまま話しを進めた。
「いや俺この1週間はユリアの家に泊まってたんだ、だからお前みたいな状況に置かれたことは1度もないけど」
「送ってない!?ユウスケ、この世界に来てお嬢さんに出会うまでどれぐらい時間がかかった?」
「えーーとっ5分かな?」
「御5分!?へっへーー、でも女性と2人っきりで住んだって言ってもそんなマンガみたいなウホホホイみたなシチュは流石にーー」
嫉妬の歪みが顔に表れてもなお笑みを浮かんで聞いてくるリョウタをユウスケは無意識にとどめの言葉を射す。
「風呂は初日は別々で入ったけどそれからはコイツから一緒に入りたいて言うからそれから一緒に入ってたよ」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「あと寝る時はベッドが1つしかなかったから一緒に寝てたよ、でもさあユリアなんで上半身は裸にして寝てくれって頼んだの?」
「もうヤメテくれええええええええええええええっ!!!!」
リョウタは発狂した。
「なんで俺とお前でこんなに落差があるんだよ!?おかしいだろ!?お前だけイージーモード過ぎねえか!?このイケメンよウオォイ!!!!」
「いやっ知らねえよ!たまたま運が良かっただけだよ!」
「たまたまでこんな美少女と出会ってすぐ共に過ごしてチョメチョメするなんて都合良すぎだろがよおおおおお!」
リョウタは心の奥底に溜まった負の負債の全てを顔に出して泣き崩れた。
ユウスケは彼を同情はせずむしろ呆れた表情でめんどくさそうに彼をただ見つめた。
ユウスケはリョウタの行動に傍観してたユリアに頼み事をした。
「ごめんだけどユリア、ちょっとコイツのために水を持ってきてくれる?急がなくていいから」
「はっはい」
自分の頼みでユリアが小屋を離れ、遠ざかるのを確認したユウスケは未だに泣きじゃくるリョウタに話しかけた。
「リョウタ、今日の件についてだがーーー」
するとこの言葉を聞いたリョウタはすぐ泣き止み、ゆっくりと顔を上げながらユウスケを見る。
その顔はさっきまで買いたい物を買ってくれない駄々をこねる子どもの顔は消え!まるで歴戦を潜り抜けた戦士の顔つきになっていた。
「あの怪人どもは、ーーー何なんだ?」
「ーーーッ妖怪だよ、それも厄介なやつだ」
それを聞いたリョウタは軽くため息を吐く。
「フゥッそういうのは薄々感じはしてたけど、めんどくさいことになったなあ、せめて異世界ぽい感じでオークとか魔物みたいなやつの方が良かったなあ、まあこの世界にはそういうのはいないっぽいけどな」
「でもよ俺が神通力であの妖怪の大群を倒したんだ!当分は出てこないだろうよ!」
「いや、そうじゃないんだ」
「‥‥‥‥‥‥どういうことだ?」
神妙な顔色を変えないユウスケを見て、悪寒が走ったリョウタも神妙な顔になった。
ユウスケは声を低くして答える。
「お前が来る直前にもう1体妖怪がいたんだ、そいつがたった1人であの惨状を創った」
「それじゃあ速くそいつを見つけてよ、殺された人たちの仇を取ろうぜ」
「でもそいつは」
「そいつがどうしたんだ?」
ユウスケの喉は次第に震えたが、まだ受け入れたくない物を受け入れなくちゃいけないと意を決心して口にした。
「そいつは、ーーーーーーバケノシュウなんだ」
バケノシュウ、ユウスケの口から出たこの言葉にリョウタは動揺し目を開き、反射的に立ち上がった。
「おい待てよそれは嘘だろ!?アイツらはもうすでに封印されてるんだ!そいつはただ運が良かっただけの生き残りだろ」
「赤エリがそいつを助けに現れたんだ!!」
「赤エリが!?それ、本当なのか!?」
「アア、アイツは確かに赤エリだった」
この世界に来る数年前、彼等は他の仲間と共にバケノシュウという悪の妖怪軍団と激しい戦火を繰り広げていた。
ユウスケたちはバケノシュウを根絶するのは不可能と考え、奴等に封印の術を使い封印をし、この戦いに終止符を打った。
そして最終決戦で行われた封印で、ユウスケやリョウタが最後に目にした封印されるバケノシュウの妖怪は、赤エリだった。
赤
ユウスケは汗水を垂れ流し、拳を握りしめながらながら言い続けた。
「アイツが言うにはこの世界の誰かが封印を解いてこっちに招かれたと」
これを聞いたリョウタは身体を震わせながら大声で怒り出した。
「何なんだよそれ、仲間やっお前の師匠が死んで、オレたちが血反吐を吐きながらやっとの想いで封印したんだぞ、それをーーーッオレたちの全てを無駄にした奴はどこのどいつだ!!」
ユウスケは激情するリョウタをなだめ、話しを進める。
「だが封印を解かれたとしてもあの頃のように強敵や数も少ない、それに俺たちはあの時よりもっと強くなった。勝機はまだある」
「勝機ってアイツらにまともにやり合えるのは今はオレとお前の2人しかいないんだぞ!封印するなんて出来ないぐらい目に見えてるだろ!!」
「封印なんかしない!!」
「‥‥‥ーーーッどういうことだ?」
封印なんかしない、自分が放った言葉にリョウタは理解出来なかったためもう一度、言葉を言い直しす。
「アイツらを、バケノシュウ共を殺す!」
「それっ本当なのか?」
「ああ、解り合えることが出来るならしたくはない、てもあんなのを見たらーーー」
ユウスケの宣言にリョウタは怒りを治まったが、そんな彼にあることを確かめた。
「赤エリは!‥‥‥彼女も殺すのか?」
「それはーーーーーーッ!」
ユウスケが返し惜しむと、遠くから草むらを踏みながらこちらへ近づく音が聞こえる。足音を聴いたリョウタは入り口まで行き近づいて来る人に声を掛けた。
「水っありがとう、わざわざすまないな」
「あれ、リョウタさんもう大丈夫ですか?」
足音の主はユリアだった。リョウタは1度ユウスケの方に顔を向いて、そしてユリアに戻して返事した。
「ああもう大丈夫だ!」




