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第5話 この世界のこと

レアさんの黒い髪は綺麗だ。艶がある。

俺の好みにもよると思うが、顔も美人と呼ばれる類いのものだろう。

胸だってまぁまぁある方だし......


艶麗


その言葉がよく似合う女性だ。

彼女を表す為だけに作られた言葉のように思えてくる。


「聞いてるかい、ナオヤ君?」


尚弥がレアに見とれていると、彼女は眉をひそめて説教した。


「ナオヤ君、人の話を聞かないと社会で痛い目にあうよ」


その通りだ。

実際それで上司にこっぴどく叱られたことがある。


「す、すみません、もう一度説明してもらってもいいですか?」

「もう! 仕方ないなぁ」


レアは一瞬ムスッとしたが、数秒後には普通の顔に戻って説明を始める。

彼女は尚弥が別の世界から来たことを知っていた。「全てを見通す目」の力で、出会った時から理解していたのだ。

そのことも踏まえて、何もわからない尚弥の為にこの世界のことを事細かに教えた。




レアさんが俺に教えてくれたことの要点をまとめるとこうなる。


まず、この世界にいる者達は皆、天命というものを持っている。

死ぬまで天命は全うしなければいけない。もしそれを怠るようなことがあれば、罰を受ける。


俺の場合、その罰が「他者から存在を認識されなくなる」ことだという。

俺はこっちの世界に来たばかりなのに、今まで生きてきた28年間天命を全うしていなかったことになり、この世界にいるほぼ全ての生物から存在を認識されなくなってしまっている。

全く酷い話だ。



そして何より重要なのは俺の天命、《善行と存在》。

レアさんが言うには、全力で人の為になることをすれば良いらしい。


社会福祉とかそういうことか?


兎に角それが相手に善行であると思ってもらえれば、その人から存在を認識されるのだ。

以上が俺の右腕に記載されていた内容である。


とは言ってもなぁ。

具体的に何をすれば良いのかわからない。

尚弥が悩んでいると、レアはキラキラした笑顔で彼に言った。


「私と一緒に何でも屋をしよう!」

「へ?」




この時はまだ、レアがどうして尚弥の為にここまでしてくれるのか、彼は知らなかった。

ただ彼は神の神々しい笑顔に魅了されていたのだ。

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