第10話 無知な男
何でレアさんはあんな顔をしたんだ?
まさか、あの子とレアさんの間に深い因縁が......
いや、さすがにそれはないか。
「君はまさか、あのリーシュ家の....」
レアさんは驚きすぎて言葉に詰まっている。
「そうです、リーシュ家に捨てられた半獣人とは、私のことなんです」
「そうだったんだね....」
2人は何の話をしているのだろう。
レアさんは何故か納得しているようだけど、俺にはさっぱり分からん。
リーシュ家に捨てられた半獣人?
何だよそれ。
そもそもリーシュ家って何だ?
俺はもっとこの世界のことを知るべきなのかもしれない。
「あ、あの~、リーシュ家って、何?」
思いきって質問してみたが、案の定変な顔をされた。
そんなことも知らないの? みたいな。
「ナオヤ君は色々あって、この国のことを全く知らないんだよ」
すかさずレアさんがフォローしてくれる。
こういうところは好感持てるんだけど、たまにからかってくるのが鼻につく。
まぁでも助けてくれたことだし、ここは素直に感謝しておこう。
「本当に何も知らないんですか?」
そう聞いたセイラは、目を見開き尚弥のことを凝視している。
「はい、本当に何も知りません......」
俺が素直に答えると、彼女は目を閉じた。
やべ、怒らせちゃった?
あまりにも俺が無知だから、怒らせちゃったんじゃないか?
尚弥が気をもんでいる間に、セイラはある覚悟を決めていた。
決心したセイラは、目を開けて再び尚弥に話しかける。
「ナオヤさんは、私のこと知りたいですか?」
「そりゃ、できることなら知りたいけど」
「.........わかりました。お話しします」
そう言った彼女は、今まであった悲哀な出来事を余すことなく語ってくれたのだった。