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とおのものがたり  作者: 新兎和真
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天上に通じる石

松崎村の菊池誰々という今年43になる男が庭造りが大変上手だった。


ある日、山に行って今まで見たことのないような美しい大岩を見つけた。


気に入った石を持ち帰るのはいつものことだったので、持ち上げようとしてみたが余りに重い。


人が立った形をしていて高さもそれぐらいなのに、思った以上に重い。


しかし、あまりに欲しかったので我慢して20メートルほど歩いてみたが、気の遠くなるほど重かったので、道の傍らに石を立ててもたれかかった。


すると、その石と一緒にスッと空中に昇っていくような感覚があった。


雲より上のように感じたが、大変明るくて綺麗なところで、あたりに花々が咲き乱れ、どこからか大勢の人の声が聞こえてくる。


だけど、石はどんどん上に昇って行き、ついに昇り切ったのか何も見えなくなった。


少ししてから気がついた。やっぱり石にもたれかかったままの姿勢だった。


こんな石を家に持ち帰ったら大変だと恐ろしくなって逃げて帰った。


しかし、懲りないこの男は、この石の前を通るたびに欲しくなるのだった。


なんとなく、雲の上の花が咲き乱れて大勢の人の声がする所は三途の河原を連想させた。

さらに上に昇ると何も見えなくなる、というのは仏の世界で言う「無」の境地で、成仏した仏が行くところのような気がする。

なので題名は「天上に通じる石」にした。

この男が持ち帰ろうとした石は人型だったそうだが、風化してわからなくなっていただけで、もともとは阿弥陀如来の石像だったりしたらオチ的に面白いと思った。

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