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97回目 攻勢はしのいだ、しかし敵を排除したわけではない

「終わったのか?」

 一井物産の企画室の一角で、確認の声が上がる。

 それに応じて別の者の声も上がる。

「みたいだな」

 戦闘結果を受け取った者達はそう言ってため息を吐いていった。

 疲れが一緒に抜けていくのを感じた。

 同時に、張り詰めていたものも。

「これで寝られる」

「まだ残務処理があるぞ」

「分かってる。

 でも、それは言うな」

 当面の危機が去った事で、緊張感が抜けた。

 こんな状態では仕事は出来ない。

「とにかく眠らせてくれ。

 疲れた」

「……コーヒーでも持ってくるか?」

「やめておく」

 間髪入れずに答えが上がった。

「飲み過ぎで胃が痛い」

「分かった」

 聞いた同僚は状態を察して意見を引っ込めた。

 彼自身、眠気覚ましと頭の回転を保つためにコーヒーを大量摂取している。

 その為、腹がだぶつく感覚に襲われていた。

 そこに更にコーヒーを注入する気にはなれない。

 それと同じような状態に陥ってるであろう同僚に、無理を強要する気にはなれなかった。



 だが、疲れたからと言って寝てるわけにもいかない。

 ある程度の休みは必要だが、それが終われば今後の事を考えねばならなくなる。

 今回の出来事、ふってわいたような災難ではあるが、今後も対処は必要になる。

 その為の方策を決めていかねばならない。

 一休みしたら、その為の作業を開始していく事になる。



 敵の攻勢はとりあえず終わった。

 とはいえ、それで全てが終了したわけではない。

 敵はまだ残ってる。

 再び同じような事をしてくる可能性は充分にあった。

 それらへの対処を考えていかねばならない。

 合わせて、今後の方策も。



「暫くは大丈夫だと思う」

「ありったけの兵力をぶち込んできたようだしな」

「けど、それもすぐに回復するだろ」

「生産力が厄介だな」

「工場を潰さないとどうにもならないぞ、これ」

「やっぱり、爆撃をしないとまずいか」

「それしか手はないな」

「だとすると、まずは飛行場か」

「幸い、敵もすぐには手を出してこないだろうから、余裕はある」

「回復してくるまでにどうにかしたいところだな」

「とにかくあと1000キロ。

 それだけはどうにかしないと」

 問題なのはこの距離だった。

 それだけ進み、物資を運搬しなくてはならない。

 かかる手間は相当なものになる。

 場所自体に問題はないのだが、必要な物資と人員などを考えると頭が痛い。

「場所は悪くないんだけどな」

「飛行場一つを作らなくちゃならんのは痛いな」

「時間もないし」

 敵が来るまでにどうにかせねばならない。

 その事が計画を練る者達を悩ませる。



 そんな上の事情とは一切関係なく、下々は己の仕事に戻っていく。

 戦闘に従事していた者達は、順番に休息に入っていく。

 人の損害損失はほとんど無かったが、それでも負傷者は出る。

 それらは治療に入っていく。

 そうでない者達も疲労は溜まっている。

 何せ途切れる事無く迫る敵を相手にするのだ。

 相手をする者達も不眠不休を要求される。

 その為、順番に休日をとらせないと仕事にならない。

 今後の為にも、まずは動ける状態まで回復する必要があった。



「早く眠りてえ」

 自分の日程を見つめてぼやく。

 携帯端末に表示された予定だと、タクヤ達の休みはまだ先になる。

 たかだか一週間程度であるが、それでもまとまった休暇が先なのは辛いものがあった。

「さっさと来週にならねえかな」

「まったくです」

「もっともです」

「まことにその通りです」

 部下も追従する。

 彼等もタクヤと同じく、来週まで休暇はお預けだ。

 隊ごとや班ごとに与えられるので当然の結果と言える。

 それまでこの面子で日々の業務をこなさなければならない。

「日程を決めた奴が憎い……」

 タクヤの言葉に部下も無言で頷いた。

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おまえら、教えやがれ
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  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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