93回目 第一次防衛線、戦闘開始 2
敵との接触、交戦に入った事はすぐに周知されていく。
撮影された戦闘の様子も含めて情報は司令部に入っていく。
それをもとに様々な対策が立てられていく。
となるのだが、そういった様子はほとんどない。
突発的な事故や事件があるわけでもない。
事前の想定通りに推移してるので、事前に決めた通りに動いていけば良い。
ある意味、物事は淡々と進んでいく。
ただ、実際にやってみて分かった事もある。
敵の侵攻速度と弾薬などの消費量がはっきりした。
思っていた程敵の侵攻速度は速くはない。
攻撃をすればそれなりに停滞させられる。
これは、敵が思った以上に脆弱だったからである。
そして、思った以上に弾薬などの消費が激しい。
隙間無く接近してくる敵を倒すには、連続した攻撃が必要になる。
その為、どうしても消費は早くなる。
間断無く攻撃をしかけないと敵を退ける事が出来ないのだ。
このため、予定よりも早く第一次防衛戦からの後退が始まってしまった。
それでも、倒した敵は多いので、それほど悪い結果ではない。
楽観は出来ないが絶望する必要はなかった。
ただ、弾薬の消費は激しく、とにかく補給が必要になる。
このため、航空輸送が活発に行われる事になっていった。
一度に運べる量では船に劣るが、短時間で輸送出来るので回転がはやい。
これを利用してとにかく必要な物資を運び込ませていく。
ただ、それでも生産地である第一大陸との距離はいかんともしがたい。
航空機と言えども、この距離を往復するのはとてつもない手間がかかってしまう。
空港の整備だってまだ完全ではないのだ。
何かがあれば即座に破綻する可能性がある。
そんな状況で、戦線を支えようと誰もが必死になっていた。
それは様々な物資を生産する工場でも同じだ。
消耗されていく弾薬などを増産する為に、工場は最大限に稼働をしている。
生産設備の増加も含めてだ。
そして、生産用の機具を作る工場も止まることなく稼働している。
原材料を運ぶ運搬業者と、原材料を採掘する鉱山なども。
あらゆるところが休むことなく動き、それでどうにか最前線で使われる消耗品が作られていく。
状況は完全に総力戦のものになっていた。
国家ではないが、この異世界における人類の、日本人の持てる全てを投入している。
そうせざるえないほど危険な状態だった。