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92回目 第一次防衛線、戦闘開始

 敵は木々を切り倒しながら拠点方向へと近づいていく。

 上空から見たその様子は、アメーバが体を変形させながら進むようであった。

 相手をくるみこんで食べる捕食のように。

 まだ数千キロの彼方の事であるが、しかし確実にそれは迫ってきていた。



 一ヶ月後。

 ゆっくりとした動きを見せていた機械群がとうとう防衛線に到達する。

 展開していた装甲車や機関銃搭載車輌、迫撃砲などが攻撃を開始する。

 密着するが如く隙間無く並んでる敵は、それらを受けて前から次々に倒れていく。

 装甲車が搭載する35ミリ機関砲は、容易く機械の体を貫通し、二体三体は確実に巻き込んでいく。

 12.7ミリ機関銃も同じで、一体は確実に倒し、直後にいる敵もついでに抉っていく。

 迫撃砲も確実に何体かの敵を巻き込んでいく。

 さすがに爆風や破片で倒す事は難しいが、底部を破壊して移動手段を奪っていく。

 密集している敵は、そうやって次々に数を減らしていく。



 しかし。

 それで敵の動きが止まるわけもなかった。

 倒れた味方を乗り越え、後続が次々に迫ってくる。

 一度の攻撃で複数が倒れても、それをものともしない。

 全体からすれば本当に一部、欠片にもならないほど小さな一部分での事だ。

 損失や損害として勘定するのも憚られる。

 その程度の損失である。

 言うなれば、表皮を強く擦って皮が薄く剥がれた、という程度だ。

 全体の動きに何の支障もない。

 そんな傷にもならない傷など、負った事すら気づかないであろう。

 実際敵の進軍速度は全く変わらない。

 いつものように一定の速度で進んでいく。



 それを見て、人類側も少しずつ後退していく。

 押されてると言える。

 倒しても倒しても迫って来るのだから退くしかない。

 その間にも攻撃は続いている。

 迫る敵を少しずつ倒してはいる。

 しかし、勢いを止める事は出来ない。

 敵の数と侵攻速度が攻撃の威力を上回ってる。

 倒した数もそれなりなのに、全然数を減らせない。

 念のために言えば、全く無駄になってるわけではない。

 倒した分だけ最前列は減り、敵の進出距離は減っている。

 それが押し戻す程になってないだけだ。

 だから後退するしかなかった。

 同じ場所に留まっていたら、確実に敵に捕らえられる。

 それで撃破されたら元も子もない。

 戦力がただでさえ少ない状態だ。

 ほんのわずかな損失も許されない。

 第一、最前線にいる者達に求められてるのは、敵を押し返す事ではない。

 次の防衛線に至るまでに、少しでも数を減らす事だ。

 その仕事は確実にこなしている。



 そして、最初の防衛線から次の防衛線まで後退しながらの攻撃を続ける。

 敵から付かず離れずの距離を保ち、攻撃を確実に当てていく。

 移動しながらも機銃などを発射していく。

 車載されていた迫撃砲も攻撃を続行している。

 狙いはそれほど正確ではないが、問題は全く無い。

 どこを向いても敵がいるのだ。

 狙いを付ける必要など全く無かった。

 間にある木に当たらないようにすれば良いだけである。

 そうして移動しながら攻撃を続け、次の防衛線に到着する。

 そこで改めて補給を受けて攻撃を再開する。

 その場に待機していた者達と共に。

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おまえら、教えやがれ
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  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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