87回目 強行偵察 9
最初の遭遇から、敵の姿は頻繁に見るようになった。
もともと数多く繰り出してくる機械群である。
次々に後続がやってくるのは当たり前ではあった。
その都度撃退していくのだが、さすがに回数が多いとどうにもならない。
弾薬がすぐに底を尽きてしまう。
どうにか節約して戦ってるのだが、敵の数が多いのだからどうにもならない。
弾薬が底を尽く前に撤退するしかなくなる。
その事は上層部も分かってるので、交代要員を送り込んでくる。
ついでに、可能な限りの弾薬に燃料、食料などを持ち込んでくる。
少しでも敵を引きつけ、その場で倒す為だ。
出来るだけ敵を事前に食い止める必要がある。
拠点近くまで接近されると面倒になる。
数が多いので一気に攻め込まれたら対応出来なくなる。
その為、接近してくる段階で敵を間引かねばならない。
もちろん全滅させる必要は無い。
数さえ減らせばそのまま通しても良いのだ。
問題なのは対処出来ないほど敵が迫ってくる事だ。
問題無いくらいに数が減ってるならそれで良い。
タクヤ達に求められてるのは、敵の殲滅ではない。
あくまで間引きだ。
とはいえ、それが簡単にできるわけもない。
戦闘に入ってしまったら、あとはどちらかが死ぬまで終わらない。
敵は最後の一人まで撤退する事無く突っ込んでくる。
一度戦闘に入ったら、敵を完全に倒すまでは終われない。
なので、戦闘を仕掛ける敵についてはある程度選別していく。
敵も途切れる事無くやってくるわけではない。
まとまった数で行動している。
その塊は完全に殲滅するしかないが、その前後の全てを相手にする必要は無い。
続いてやってくる一群は無視して通す、という事も出来る。
相手に見つかってない事が条件だが、姿を隠してやりすごす事が出来れば戦闘を回避出来る。
その分、無傷の群れが残ってしまうが、戦闘を連続して行うよりは良い。
可能な限り倒しはするが、さすがに全部を相手にする程の余裕はない。
一組二組を倒したあとは一回休み、という程度に戦闘をこなしていく。
これくらいならば拠点で余裕で対処出来る。
そんな調子で戦闘を繰り返し、敵を引きつけていく。
本来の任務とは違ってきてるが、何故かそういった仕事もタクヤ達が自然と担うようになっていた。
敵に攻撃を仕掛け、それによって敵をおびき寄せる。
そうして拠点とは別方向に敵を誘導する。
見つければ確実に襲ってくる敵の習性を利用したものだ。
これにより、敵をあさっての方向へと導いていく。
どこまで効果があるのか分からないが、今のところそれは上手くいっていた。
そんな事を続けていた矢先、敵の姿が消えた。
それまでは間隔を開けてではあるが、途切れることなくやってきていた敵がだ。
何があったんだと誰もが訝しんだ。
その答えは、程なく伝えられる事になる。