85回目 強行偵察 7
「今日はこっちか」
出発してからしばらくし、休憩をとりながら地図を確認していく。
開いた地図に記した作戦行動地域を目にしていく。
紙で出来たその地図は、電子化が推進されてるこの時代でも生き残っていた。
重さは大した事ないが、かさばるので敬遠されがちだが。
しかし、電気の消費を気にせず使えるという利点は大きい。
少しでも無駄を省かねばならい野外行動において、これは無視出来ないものがあった。
もちろん電子機器に比べれば不便ではある。
それでも、大雑把に現在地を把握するには充分である。
その地図を頼りに次の移動地点へと向かっていく。
敵の姿が確認された場所であり、念のために偵察をする必要があった。
新たな敵の侵攻経路になっていたら厄介である。
既に敵が進出してる可能性もあるので、その調査もせねばならない。
例え姿が見えなくても、探知機などを設置しておく必要がある。
可能であるならば地雷なども置いていかねばならない。
何より、もしそこに敵がいるならば、可能な限り殲滅しなくてはならない。
出来ないまでも、敵の状態を報告する必要はある。
(行って帰って一週間ってところか)
せいぜい200キロほど進むだけなのだが、どうしても時間がかかる。
道の通ってない場所を通るので、速度が出せない。
調査が進んでない場所でもあるので、どこが通れるのかも分かってない。
進める場所を探しながらの行動になってしまう。
単純に往復するだけでも、それだけの時間がかかってしまう。
おまけに目標地域の様子も確かめておかねばならない。
毎度の事だが、面倒な作業であった。
それでも出発はしなくてはならない。
「それじゃ、そろそろ行くぞ」
部下に声をかけてバギーにまたがる。
その声を聞いた者達が動き出す。
設置していた警戒装置を回収し、車輌に乗り込む。
四輪駆動車を先頭にして、一列の隊列を組んでいく。
このあたりは慣れたものだった。
タクヤの班はそのまま目的地へと向かう。
今日中に予定の行程は消化するために。
「モンスターが出てこないといいっすね」
「まったくだ」
「このあたりの駆除ってやってるんですかね?」
「さあなあ。
そんな余裕無いんじゃないのか?」
「まあ、そうだよなあ」
通信機ごしにそんな無駄口を叩きながら。
それもまた多少の気晴らしであるので、窘めるような無粋な真似をする奴はいない。
それでも目的地までは、ある程度順調に進む事は出来た。
進む事が出来ないような場所もあったので、何度か引き返す事もあったが。
バギーやバイクで周囲を探索せねばならない事もあったが。
それでも概ね順調ではあった。
その程度の事は、探索や調査作業ならばつきものだ。
タクヤ達もこれまで何度もこなしている。
面倒ではあるが、慣れてもいるのでそれほど手間取る事は無い。
モンスターにも遭遇するにはしたが、対処出来る程度の相手だったので被害はでなかった。
ただ、敵が出没したと言われてる地点に近づく事で、嫌でも緊張はしてしまう。
下手すれば敵に突撃されるので、監視は怠れなかった。
出発してから三日目。
到着した目的地にて逗留の準備をしていく。
警戒装置の設置と、衛星通信の接続。
周囲の調査と逃げ道の確保。
敵が接近してきた時にとるべき行動の確認。
必要な措置を講じながら、更にその次の作業に向かっていく。
「まずは、敵の目撃地点まで行ってみるしかないな」
観測衛星によって発見された、敵と思われる存在の確認。
その地域に何があるのかを確かめねばならない。
その部分を含めて、周辺の様子を探っていかねばならない。
まだ仕事は始まったばかりである。
ようやく続きが書けた。
長かった。