81回目 強行偵察 4
強行偵察だけが仕事というわけではない。
可能であるならば探知機や地雷などを設置していく。
敵を発見する範囲をひろげるために。
足止め・減少のために。
発見出来る範囲の増加は、偵察の負担も減らす。
設置しておける地雷は、少人数での阻止に効果を発揮する。
偵察に出る者達はこうした作業も含めて活動していた。
その為に部隊編成も変わっていた。
数人で編成される班という構成は変わらないが、これが複数まとめられていた。
最低でも十数人、三つから四つの班をかためて運用している。
これくらいの人数がいなければ対処が難しいからだ。
また、武装の方も幾らか増強されている。
従来の武器の他に、軽迫撃砲などが支給されていた。
軽量で一人での操作も可能なものである。
少人数で行動する場合には重宝する。
その分威力も射程も低くなるが、長期間陣取るわけではないのでこれで充分だった。
通常の迫撃砲だと、使用するために設置しなくてはならない。
それほど手間がかかるわけではないが、迅速な展開が必要な強行偵察には不向きである。
それよりは、火力はものたりなくても手軽に使える兵器の方が便利だった。
直接の火力には結びつかないが、監視装置なども持たされていた。
ある程度広範囲に設置して、敵を素早く発見するためだ。
視界が遮られる森の中などでは実に役立っていた。
これらは設置してそのまま残していくものだけではない。
休憩や観測のために一時的にその場に滞在する場合のものもある。
腰を落ち着けた場所の周囲の設置して、周辺だけを警戒する為のものだ。
即座に回収出来るように、簡便なものになっている。
その分効果は低くなるが、敵を発見してすぐに移動しなくてはならない場合には役に立つ。
その他にも、擲弾筒や無反動砲なども増強されていた。
と言っても、一門か二門追加された程度であるが。
それでも、同時に使える数が増えるのはありがたい。
予備の砲弾も今までよりは多めに持たされているので、残弾を気にする必要が薄れた。
とりあえず戦闘になった場合、相手を圧倒出来る可能性は高くなっている。
とはいえ、これで安心出来るというわけでもない。
敵の数は脅威だし、距離をつめられるとどうしようもない。
出来るだけ距離をとって銃撃を加えてないと確実に潰される。
たった一機でも、接近されると犠牲が出る。
敵の攻撃はそれくらいには脅威であった。
近づく前に仕留めねばならない。
確実にそう出来れば良いのだが、これがままならないのが現実である。
それでもタクヤ達は前に出るしかなかった。
後ろに下がるわけにもいかない。
出来るだけ敵の拠点の近くで、こちらの拠点の遠くで戦闘を繰り広げる。
敵を可能な限り自分達の勢力圏から離れた所で潰す。
でなければ、自分達の拠点を失う事になる。
それだけは避けねばならなかった。