80回目 強行偵察 3
第三大陸の進出先の拠点から更に敵地よりの地域。
そこにタクヤを含めたいくつかの部隊が展開している。
目的は、未だ不明な部の多い地域の調査、行動可能かどうかの下見。
敵の監視や偵察、そして、可能であれば攻撃を加えて敵の侵攻を妨げる事。
単なる調査や偵察だけではなく、戦闘も加わってる過酷な任務だ。
必ず戦闘をしなければいけないわけではないが、可能であれば敵の数を減らす事は求められている。
タクヤ達が任された仕事がこれだった。
強行偵察である。
主に求められてるのは偵察である。
まだはっきりと分かってない敵の視察もしなくてはならない。
付近の地理も調べねばならない。
しかし、それだけが目的ではない。
可能であれば敵に攻撃を加え、戦力を減らす事。
また、実際に敵と戦ってどの程度の強さなのかをはっきりさせる事。
遊撃にも似た作業がタクヤ達に求められた業務であった。
それも当初は偵察や現地の調査が主な目的であった。
しかし、敵との遭遇が思ったよりも多かったので、段々と戦闘がしめる割合が大きくなっていった。
見つけたら必ず戦闘をしなければならないわけではない。
敵の数が多かったり、戦闘を仕掛けるのに不利な状況であれば、やり過ごす事も認められている。
相手が対処仕切れない程の規模だったら、そうするしかない。
もとより偵察が中心であるのだから、これが本来正しいありかたと言える。
そうした場合には、情報を司令部に報告しておけば良い。
それだけで適切な対処がしやすくなる。
一度やりすごしたとしても、敵の位置が分かっていれば対処しやすくなる。
周囲に展開してる部隊に通信を入れ、包囲して殲滅する事も出来る。
基地の近くまで近づいてるなら、そのまま砲撃で撃破しても良い。
発見していればやりようはある。
偵察部隊を展開してるのは、まさしくこの為なのだ。
出来るだけ早く敵を見つける事。
異変や以上を察知する事。
その為に強行偵察部隊が幾つも作られ、前線進出地点から繰り出されている。
そのついでに、見つけた敵を撃破出ればなお良い。
発見してその場で対処するのが一番なのだから。
撃破出来なくても、数を減らす事が出来ればそれだけでも充分である。
戦力の低下した状態にしたなら、その後の対処も簡単だ。
もっとも、倒しきれないと損害を受ける可能性があるので、出来れば全滅させた方が良い。
敵は人類と違って、撤退や逃亡をしない。
人類を見つけたら迷わず躊躇わずに攻撃を仕掛けてくる。
それこそ全滅をするまで。
なので、相手の士気をくじいて撤退させるという事は出来ない。
戦闘に入ったら、どちらかが壊滅するまで続けるしかない。
もっとも、その性質を利用して、敵をおびき寄せるという戦法もある。
だが、これをやるには、確実に撤退できる経路を確保しておかねばならない。
周囲の部隊との連携も必要になる。
どうしても手間がかかってしまう。
その為、下手に攻撃を仕掛けず、一旦見逃すのが通例になっている。
何にせよ、見つけられないのが一番問題になる。
戦闘をするにせよしないにせよ、相手を見つけねば始まらない。
また、敵の存在に気づかないまま拠点まで接近されると対処が遅れる。
撃退出来ないという事は無いが、対応に手間取る事になる。
それだけは可能な限り避けたかった。
下手に損害が出たら大問題になる。
人にせよ物にせよ、損害が出たらその分だけ作業が滞る。
進めていた予定が後退してしまう。
規模を拡大し続ける敵に対抗するにあたり、これは大きな問題になってしまう。
ほんの少しの遅れでも、それが積み重なると予定を大きく狂わせる。
敵への対処を遅らせ、取り返しの付かない事態になりかねない。
それを避ける為にも、なるべく損失を出すわけにはいかない。
偵察はその為にも必要不可欠だった。
そのついでに敵を減らせるならなおありがたい。
その為、企業は可能な限りの部隊を展開して、接近する敵の漸減に努めていた。
瀬戸際や水際での阻止なぞしている余裕は無い。
接近するまでに出来るだけ敵の数を減らさねばならなかった。
敵地側に進出してる拠点もまだ万全ではない。
体制がととのうまでは、暫く拠点から離れた場所での敵の殲滅が必要だった。