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67回目 日本本国の動き

 日本政府も新地道のこの動きを察知はしていた。

 何せ異世界の衛星軌道に打ち上げられてる観測衛星は日本政府のものなのだ。

 何も分からないという事は無い。

 この事態に対して彼等も対処はしようとしていた。

 しかし、それを阻む者達がいる。

 新地道と新地道選出の議員である。



 新地道の代表者達は政府の動きを悉く邪魔をした。

 言い方は悪いが、日本本国からすればそうとしか言えない動きをしている。

 彼等は新地道における日本政府の動きをとにかく止めていく。

 おかげで日本政府が新地道において出来る事はほとんどなかった。



 しかし、これは新地道側からすれば当然のことでもある。

 日本政府の方針は、戦闘の回避というか阻止。

 自衛や正当防衛すら否定してくる。

 このおかげで新地道においては、開拓初期に多大なる犠牲を出した。

 何せ猟銃によるモンスターへの攻撃すらも禁止状態だったのだ。

 そもそもとして猟銃の所持規制が厳しかった。

 これもあり、新地道入植者の死傷率の高さはありえない程になっていた。



 政府側も一応は言い訳を用意してはいる。

 猟銃の所持を禁止してるのではない。

 免許を取れば所持は可能であると。

 また、モンスターに襲われた際の自衛も認めてる。

 正当防衛であるならば何の問題もないと。

 しかし、これらがただの言い訳にすぎないのは、新地道からすれば明らかだった。



 所持は可能であるとしながらも、免許の合格率は極端に低い。

 実質的に所持不可能と言えるほどである。

 自衛や正当防衛も、その適用条件が極端に厳しい。

 実際にモンスターを撃退した場合、逮捕投獄が当たり前と言える程に。

 それでも、「可能である」という状態にしておく事で、日本政府はアリバイ作りをした。

 いわゆるお役所的な対応というのだろうか。

 なるほど、建前上は確かに禁止も何もされてない。

 だが、実態は確実なる規制や禁止状態であった。

 それを許すほど新地道に渡った者達はお人好しではなかった。



 実際に対抗手段の保持を許さず、自衛すらも否定された。

 そのような制度を押しつけてくる日本本国を、官僚機構を新地道は見限っていく事になる。

 規制などは全て無視され、新地道の住人は武装を開始していく。

 それを取り締まろうとした行政機関は、ほぼ例外なく血祭りにあっていった。

 規制を無視した不法所持銃器(実際には自衛の為の必要な武装)が進むにつれ、新地道における国家公務員の行方不明者は増大していった。

 取り締まろうにも、行政側よりも新地道住人の方が武装してるのだからどうしようもない。

 かくてなし崩し的に新地道の武装は黙認されていく事になる。



 同時に、こういった出来事が新地道における日本本国への不信感となっていく。

 これは決して拭われる事なく、現在も続いている。



 新地道において国家公務員が定められた業務を行うと、必ず行方不明となった。

 公務員の業務、つまりは規制などであるが、それを法令通りに行うからである。

 そこには当然ながら武装の禁止なども含まれている。

 自衛や防衛行為の規定も入っている。

 これらをまともに行うと、モンスターの撃退すら出来なくなる。

 それは新地道における死活問題に繋がる。

 それを規定だから、法律だからと律儀に遂行しようとした者は、悉く行方不明となっていった。



 本国政府や公務員からすれば、法律なのだから守って当然という事ではある。

 だが、遵守する事で新地道では理不尽な死に繋がる事になる。

 そんな法律など守る意味も意義もなかった。

 少なくとも新地道の者達は法律に殺されるつもりはなかった。



 法律とは、それを守る事で生活や安寧が保たれるからこそ制定する意味がある。

 言動や行動に制限が加えられる事にはなるが、それでも遵守した方が理や利がある。

 犯罪行為や暴言などの制限がこれにあたるだろう。

 こんなものまで各自の自由だからと認めていたら、無駄な混乱や騒動が起こる事になる。

 だからこそ、悪さを規制する事には意味がある。

 しかし、新地道における武装規制や自衛の制限はこれらに真っ向から反する。

 法律に殺されるような……いや、法律に殺されている。

 そうであるならば、法律などもはや存在する意味がない。

 生活や安寧を保つという役割が無くなってるのだから。



 このような経緯があるので、新地道選出の議員は本国政府や官僚機構の動きをとにかく遮った。

 彼等が何かしようものならば、即座に動いて止めに入る。

 それが新地道にとって利点があるものであってもだ。

 下手に新地道に介入させると、そこを土台にして内部を浸食するかもしれないからである。

 だからどれ程有利な提案があっても、その全てを蹴っていった。

 新地道からすれば、それは甘言にしか見えず、受け入れる余地など一切ない。

 そう考えさせる程に、新地道は日本本国と日本政府、官僚機構を信用していなかった。

 敵視してるとすら言える。

 新地道は、法律を盾に、法律を言い訳にして人を死においやったと考えている。

 日本本国は規定の法律に従っただけと言い張る。

 両者はこうして決して相容れる事なく、にらみ合いを続けながら平行線を辿っていった。



 そんな新地道において、政府は政府で行動を開始しようとする。

 トンネルから異世界の者達がやってきたのだ。

 放置するわけにはいかない。

 どうにかして接触をして交渉を開始しようとする。

 政府としては当然の対応と言えるだろう。

 だが、これについては新地道はやはり冷ややかな対応をしていく。

 外交交渉を名目にして、政府が乗り出してくるのを危惧していた。

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おまえら、教えやがれ
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http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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