6回目 開拓に関わるモンスターの脅威と、現地のおける武装事情 3
防御面においても、軽装甲車が投入された事で劇的に改善された。
銃弾ならば簡単にはじき返す装甲をまとってるのだ。
モンスターの牙や爪、体当たりなどものともしない。
中型モンスターが踏みつけても、その程度で潰れたりはしない。
これが盾になる事で武装部隊の損失は劇的に減る事になる。
人はその後ろからモンスターを狙い撃ちにすれば良いだけかのだから。
また、硬い装甲を用いて体当たりする、という戦法も見られるようになった。
これまではぶつかると車体がへこむので出来なかったのだ。
相手が小型モンスターでもあってもだ。
しかし、軽装甲とはいえ、歩兵銃の銃弾くらいは簡単にはじき返す車輌である。
小型モンスターくらいなら問題無くひき殺していける。
これにより、銃弾を使う事無くモンスターを倒す事も出来るようになった。
もっとも、これらもより大型のモンスター相手だと苦戦する。
倒せない事は無いが、体も大きく簡単には倒せないので、損害が大きくなってしまう。
ここに分類されるドラゴンやベヒーモスなどには、ここまでの装備があってもまだまだ危険な相手であった。
その為、現地の企業は更に強力な武器を製造していく事とした。
対装甲・対物用ロケットランチャー、擲弾筒に無反動砲。
これらを製造して配備していった。
これならば、体長20メートルを超えるドラゴンやベヒーモスの強靱な体にも大きな穴を開けられる。
その肉体を大きく抉る事が出来る。
着弾地点を中心にして、直径1メートル近い爆発坑を作る事が出来る。
また、重機関銃であるならば貫通可能である事も分かり、大型のモンスターも倒せないほどの脅威ではなくなっていった。
これらを大量に配備していく事で、開拓は比較的簡単に進むようになった。
人員の損失も大きく減退していった。
当然ながら、この動きを日本政府と現地の自治体は非難した。
それはそうだろう、一般的に考えれば違法な武装なのだから。
これには警察などによる強制捜査も行われた。
そして、これまた当然ながら、これらは企業の保有する武装部隊によって蹴散らされていった。
武装しなくてはやっていけない開拓事業において、武装を否定されたら死ねと言われたようなものである。
我が身を守る為に、不当な取り締まりをする連中を撃退するのは当たり前だった。
これには当時の開拓民達も全面的な支持をしていった。
結果として、日本政府と自治体は、現地の人間全てを敵に回すことになる。
さすがにそれはそれでまずい事である。
異世界で入手出来る資源をあてにしていた日本としては、現地が敵に回る事は得策ではない。
このため、その後様々な紆余曲折を経る事になるが、現地の武装は認められる事になる。
法律して定められる事は無く、あくまで政府の黙認という形であったが。
このあたりは、政府としての意地でなのだろう。
また、武装化の対応して、現地に自衛隊を駐屯させる事も決定されもした。
異世界に存在する凶悪なモンスターに対処するため、というのが表向きの理由だ。
本音は、何かあった場合に即座に現地を制圧するためである。
少なくとも、日本本国と行き来するトンネルを確保する事は求められた。
それが出来れば、本国から加勢を送る事が出来るからだ。
そして現地の者達は、そんな本国に対抗する事を考えてより強力な武装をしていく事にもなった。
この流れは、異世界の自治体が現地人で構成されるようになるまで。
そして、異世界から新たな国会議員が選出されるまで続いた。
その後は現地自治体は、実質的に現地人による自治政府と化していった。
また、国会議員も現地の権益を守るために行動していった。
これにより、少しは穏和な形で異世界と日本の付き合いはなされるようにはなった。
いまだに現地の新地道民は本国の日本を警戒はしているが。
日本政府の方も、新地道は反乱の可能性を常にもってるととらえていた。
なにより、官僚機構は己の権益を横取りされたとすら考えていた。
表だった衝突が無いだけで、日本と新地道の間には冷たい壁が存在していた。