50回目 新たな大陸にて 15
第三大陸────機械があらわれたトンネルのある大陸の事である。
呼び名が確定したわけではないが、便宜上そう呼ばれるようになっている。
地球に通じるトンネルのある大陸を、第一大陸。
第三大陸への中継地点になってる所を第二大陸。
そして、三つめの上陸場所だから第三大陸…………という事だ。
ひねりも何もないが、呼び名がないとこれはこれで面倒である。
そんなわけで、いつしか人類が展開してる大陸にはこういった呼び名がつけられる事になった。
その第三大陸において、探索隊が編成されていく。
それを見る誰もが苦い顔をしている。
この忙しい時になんでこんな事を、という思いがありありと浮かんでいる。
上層部からの指示なので従わないわけにはいかない。
だが、実際に労力を引き抜かれる方はたまったものではなかった。
人も物もまだ少なく、そこから人員も物資を捻出している。
それを補うために、他の者達には大きな負担をかける事になる。
やらねばならない業務は多く、それに割り振る人手は常に必要なのだから。
特に戦闘部隊であるならば、周辺の警戒と万が一の備えとして常時配備が求められる。
いつどこからモンスターが襲ってくるか分からない。
その時に備えて、戦闘が出来る者達は常に必要だった。
特に人数が少ない第三大陸の上陸地点においては。
でないと、襲撃を受けた際に多大な損失を被る事になりかねない。
会社としても大きな損害になる。
現地にいる者達は、それこそ命に関わる重大事だ。
にも関わらず人数も物資も引き抜かれたのだ。
愉快な気持ちになれるわけがない。
引き抜かれる方もたまったものではない。
仲間が引き受ける事になる負担の大きさもそうだが、何より自分達自身の心配が大きい。
与えられた仕事は、それなりに距離のある場所までの探索となっている。
それがどれだけ危険なのかは、送り込まれる当事者達はいやというほど体験している。
視界は悪い、足下もおぼつかない。
仲間の支援を宛に出来ず、モンスターはどこからでも襲ってくる。
そんな場所に分け入っていくのだ。
好んで出向こうなどという者はほとんどいない。
仕事であるから仕方ないが、出来れば遠慮したいものだった。
ささやかな利点として、多少の手当は出るが、焼け石に水というかすすめの涙と言おうか。
無いよりは有った方が良いが、決して満足出来るものではない。
更に困るのが、上空支援がない事だった。
まだ上陸地点の周辺に居住地を築いた程度である。
そんな所に滑走路や整備場などを設置する事など出来るわけがない。
航空機の運用など夢のまた夢だ。
これが第一大陸であれば、空に航空機が飛んでいて、それらが監視や上空からの攻撃を担ってくれる。
この援護が有無で、仕事の成功具合や作業者の生存率が変わる程だ。
それが全く期待出来ないのだ。
不安もより一層大きくなろうというもの。
それでも行かねばならないのが、勤め人の辛いところだった。