45回目 新たな大陸にて 10
「これで大丈夫かな?」
「今、動作確認をするから」
設置される無人機銃座とその為の作業の護衛をしながら声をかける。
作業を行っていた者は、それに応えながら作業を進めていく。
内蔵された電源によって動く無人機銃座は、スイッチを入れる事で稼働していく。
あとは設定を終えれば終了だ。
とはいえそれもさほど時間がかかるものではない。
基本的な設定は、内蔵されてる制御装置に組み込まれている。
それらを起動させればそれで終わりだ。
細かな設定は事前に済ませてあるので、ここでやる事はほとんどない。
ほどなく作業も終わる。
「お待たせ」
「はいよ」
言い合いながらタクヤ達は車に乗り込む。
設置しなければならない無人機銃座はまだある。
それらを稼働させるために、少し離れた場所へと移動していく。
周辺からモンスターを駆逐し、接近させないために、こうした防衛線が作られていく。
二つ並んで設置される無人機銃座。
これらが数十メートルほど間をあけて設置される。
それが接近するモンスターを撃退する攻撃的な防衛設備になっていく。
上陸してからこうした防衛線を、タクヤ達は少しずつ設置していた。
少ない人数で防衛するためには、こうした自動で動く機械が必要だった。
実際、これらがモンスターの襲撃を阻んだ事は一度や二度ではない。
見張りに配置出来る人数もそれほど割けるわけではない。
監視員はある程度置くにしても、全てを見渡す事も不可能だ。
機械を用いて代わりをさせねば、一定以上の範囲を守る事など出来ない。
機械は機械で万全ではないが、それでも人を補う事は出来る。
また、人も機械の及ばない部分の埋め合わせが出来る。
押し寄せるモンスターに対抗するにはこうするしかなかった。
なのだが、設置状況は芳しくない。
一度に運び込まれる無人機銃座の数は充分なものではない。
それに、物資輸送の船団もそれほど頻繁に訪れるわけではない。
護衛艦に貨物船などの数に限界があること。
燃料の補充もなかなか思うようにいかないこと。
荷物の集積などにどうしても時間がかかること。
こういった理由によって、物資が届くのは遅れ気味ではあった。
また、一度に出港できる船の数も限られる。
どうしても優先順位の低い物はさほど持ち込まれない。
食料や燃料、弾薬に各種補修用品などなど。
これらがどうしても優先される。
比べてしまえば、無人の機銃座はこれよりも後回しにせざるをえない。
安全確保の為に絶対に必要であるのは分かっていてもだ。
その為、設置は遅々として進まない、という印象があった。
その分、周辺の警戒にあたるタクヤ達の負担が増大する。
「早く、この周り全部を囲ってくれないもらわんと」
そうぼやきながらバギーを動かしていく。
着々と防衛線は作られていってるが、それでも周辺全部を覆うほどではない。
まだ全体の半分に到達したかどうか、というくらいだ。
なので、警備にあたる者達がまだ見張りをしてる場所は多い。
タクヤも交代で見張りに立つ事がある。
上陸当初より減ってはいるが、それでも作業はまだまだ多い。
いずれ上陸地点周辺に無人機銃座を設置するまでこの状態は続く。
だからこそ、必要な分の機銃座が到着するのを願った。
設置が終われば、また新しい仕事が待ってるのも分かっていたが。