42回目 新たな大陸にて 7
企業だけではない。
自治体である新地道もこの先必要になるものを考えている。
主なものは彼等の本拠地である大陸の開発ではある。
これらを進めない事にはどうにもならないのだから。
埋蔵資源の発見と開墾や宅地の確保。
それらを行う為のモンスターの駆逐。
惑星の探索も含まれる。
これらを行うために様々な事が計画され実行されている。
また、進出だけではない。
既に出来上がった入植地や居住地の安定のためにも動いていく。
水道・電気・ガスなどなど、文明に必要なものなどを過不足無く行き渡らせねばならない。
どちらかというと、これらの保持の方が自治体本来仕事であろう。
人里に迫るモンスターの撃退などが含まれるが、それも含めて人里の保持が政治の仕事である。
その為にも積極的な行動も必要になるのが、異世界における自治体のつらいところである。
その一つとして、軍備増強がある。
武力行使に及び腰というか消極的な日本政府のおかげで、こんなものも新地道自治体は行う羽目になっている。
特に他大陸にまで進出せねばならなくなった事で、外洋型の艦船も必要になっている。
とにかく足の長い艦船が必要だった。
これが圧倒的に不足している。
現在、4隻程度しか存在しない。
これをどうにかして増やさねばならなかった。
航路の安全を確保するためには、輸送船団を守る艦船がどうしても必要だった。
円滑な物資輸送を実現するためにも。
海のモンスターから船団を守る為には、致し方ない出費である。
そして、艦船の基地も拡大していかねばならない。
これも含めて、新地道は大きな負担を背負っていく事になる。
他にも、軌道上からの観測を可能とするために、衛星の打ち上げなども行っていく。
特に来訪者の出現により、可能な限り常時観測が出来る状態が必要になる。
他大陸との通信をとるための手段としても。
新地道はこのために様々な出費をせざるえなくなっている。
もはや自治体の仕事と言えない程大規模な事業ばかりである。
とはいえ、人口1000万人を超える自治体だ。
その規模は既に国家と言っても良い。
異世界においては実質的に国家としての役割を担っている。
自治体を超えた活動や行動もやむをえないものがあった。
頼ろうにも本国は1万キロ先というのもある。
やれる事は可能な限り新地道でやらねばならなかった。
ある意味、自己完結が求められてしまう。
全て自分達で賄い、自分達で解決する事が。
でなければ、遠く離れた異世界の開拓などやってられない。