40回目 新たな大陸にて 5
「やっぱり、一体くらいは生け捕りにしないとどうしようもないかもな」
そんな声も上がってくる。
「相手が何を考えてるのかわからないし。
この機械の中身がどうなってるのかも分からないし」
「調べる必要はあるだろうな」
相手の正体が分からない、どんな構造をしてるのかも不明。
だからこそ調べねばならない、という意見も当然である。
「けど、まずは友好的かを探ってからだな」
「それはもちろん。
いきなり喧嘩をふっかけるわけにはいかなし」
「話し合いが上手く出来ればいいんだけど」
「どうなるかな」
どうしてもそこが最大の懸念になる。
言葉が通じるかどうかも分からない。
そもそも言葉や声という手段で意思の疎通をしてるのかも分からない。
相手に何らかの考えや意志があったとして、それがどういったものかはまだ分からない。
同時に、人類の意思表示手段が相手に通じるかどうかも分からない。
それ故の、不幸な接触が起こる可能性もある。
「モンスターみたいな連中かもしれないしな」
「それもあり得るからな」
「どうなるんだか」
地球に直接通じてるこの世界にいる生物、モンスター。
それらとの意思疎通も出来てない。
もしかしたら、彼等も人類と同程度かそれ以上の知能や知性があるのかもしれない。
しかし、意思の疎通はいまだに不可能である。
それ故に人類はモンスターとの衝突を繰り返している。
もしかしたら、モンスターもモンスターなりの意思疎通の方法があるのかもしれない。
それを人類が知らないからこそ、交渉が出来ないのでは、という考えはある。
今も続くモンスターとの衝突も、それが分かれば解決出来るかもとも。
だが、そんな手段はいまだに発見されずにいる。
そもそもとして、モンスターの知能などが地球の動物と同程度であるならば、意志の疎通は難しいのであるが。
だが、それでも一部では何とか意思の疎通がはかれないものかという意見もある。
携わってるものは極めて少ないが、その為の研究もなされている。
成果は全く出てないが。
それと同じ事が繰り返されるのでは、という心配があった。
もしかしたら出来るかもしれない意志の疎通。
しかし、その手段がないから衝突するしかないという事に。
それを避けるためにも、相手の事を理解したいものだった。
相手を生け捕りにするというのも、その為の手段である。
そんな乱暴な手段ではなく、もっと穏やかな接触で終わってくれればなお良い。
「でも、最悪の場合は」
「やるしかないだろうな」
「相手の事を調べなくちゃならなくなるし」
企画部の者達の表情が硬くなる。
もし友好的な接触が出来なかった場合。
その場合も生け捕りをする必要が出て来る事を考えて。
相手の内部構造を調べ、どういった造りになってるのか調べるために。
どういった長所や短所があり、どこを攻めれば良いのかを知るために。
モンスター相手にも行われた事である。
トンネルの向こうからやってきた機械も例外ではない。
何にしても相手を知らねばどうにもならないのだ。
調べる必要があるなら、躊躇するわけにはいかない。
誤字脱字、報告もらった部分の修正訂正はしてるはず




