4回目 開拓に関わるモンスターの脅威と、現地のおける武装事情
不可解ながらも仕事は仕事。
言われた通りにタクヤ達は業務に邁進していく。
疑問はあっても不平や不満がそれほどあるわけではない。
もう少しこちらの都合を考えて仕事を割り振ってくれ、とは思うのだが。
それでも危険で厳しくきつくて辛い仕事に従事していく。
中心大陸から別大陸へ。
未開のこの地に移動したタクヤ達は、早速作業を開始していく。
この異世界には人はいないが、危険極まりないモンスターと呼ばれる存在がいる。
野生の動物の一種であると言われているのだが、その危険性は動物以上である。
小型のものでも大型犬と同等の大きさ。
平均的なもので、体長10メートルになろうかという恐竜のごとき姿を持っている。
更により巨大な存在もいる。
それらは神話や伝承、お伽噺に出て来るような、文字通り怪物の姿をしていた。
ドラゴン、ベヒーモス、巨鳥、リバイアサンなどなど。
物語で語られるそれらと似たような姿形を持つそれらは、そのままの名前で呼ばれるようになっている。
この異世界における開拓とは、これらが蔓延ってる場所に攻め込むようなものである。
対抗手段として武装が必要不可欠であった。
その為の武装は、一般的な狩猟程度のものではない。
数多く存在し、強靱な生命力と旺盛な攻撃意欲を持つのがモンスターである。
ボルトアクションのライフルや散弾銃では手におえない。
それだけでは攻撃力も足りないし、何より手数がおいつかない。
小型のモンスターであれば、数が多い。
数発程度の装弾数、一発一発撃っては弾を込める手間。
そんな事をしていたら、倒しきる前に殺到されてしまう。
また、中型以上のモンスターでは、ライフルや散弾銃ですらも効果が薄い場合がある。
攻撃面だけではなく、防御面での問題もある。
近づく前に倒せればよいが、そうでなかった場合、モンスターの攻撃を受ける。
その場合、人間は非常に脆弱な存在となる。
銃器によって絶大な攻撃力を持ってるとはいえ、肉体の強化が為されてるわけではない。
防刃・防弾チョッキなどを装着はしてても、それでモンスタの攻撃を受け止めきれるわけではない。
さすがにこれらが咬みちぎられたり引きちぎられたりする事はない。
だが、これらが覆ってない部位に牙や爪が突き立てられる事はある。
また、噛みつかれた場合、防刃・防弾仕様の素材は大丈夫でも、その下にある体が粉砕される事になる。
そうなった場合、防御用素材は大丈夫でも、噛みついた顎の力で肉や骨が粉砕される。
強固な爪を繰り出す前肢による打撃は、衝撃で骨や内臓を破砕する。
金属よりは柔軟性のある素材のために、どうしても打撃による衝撃などを吸収しきれないのだ。
これが中型モンスターともなれば、それ以上の危険性を持つ。
二足歩行のトカゲと言える恐竜型モンスター。
頭から尻尾の先まで、最大で10メートルにも及ぶそれらが突進してきたらどうなるか。
自動車との正面衝突に匹敵する威力はある。
そんなものをくらってしまったら、防刃・防弾が可能な防具を身につけていても、簡単に吹き飛ぶ。
宙を舞った人間が地面に激突なんて事は、初期の入植において珍しくもなかった。
そして、こんなモンスターに襲われたら、一般的な車輌では破壊される事もあった。
小型モンスターであっても、突進を受ければ外装がへこむ。
窓ならば割れる事も珍しくなかった。
中型モンスターならば、それこそ踏みつぶされる事もあった。
決して倒せないほど強力ではないモンスター。
だが、一般人でも所持が許可される程度の武装や防備では、危険が常につきまとう事になった。