表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/176

35回目 海のおける戦いの実際

 幸いにして、海のモンスターはそれほど頻繁に襲ってくるわけではない。

 陸上に比べれば、その回数や頻度は低いと言える。

 しかし、全く襲ってこないというわけでもない。

 一週間に一回くらいは、危険なところまで接近してくるものがいる。

 その為、護衛艦はどうしても探知に神経を注がねばならなくなる。



 その一回が今迫っていた。

 船団の側面から接近してくるモンスターの群れ。

 それを探知した護衛艦がモンスターの進行方向の先に対潜迫撃砲を向けていく。

 他の兵器に比べて多目に搭載されてるそれらは、目標に向けて次々に爆雷を投射していった。

 四砲身のそれは一度に四発の機雷を発射し、すぐに次弾を装填していく。

 そして、更に次の機雷を発射していった。

 ロケットの噴射によって射程が長くなってる機雷は、船団から離れた所に次々に着水する。

 そのまま沈下していく機雷は、設定された深さで次々に爆発した。

 集団で接近してくるモンスターは、その爆発の中に次々に突入していく。

 泳いでる横で機雷が爆発する事もあった。

 それらは海中で凄まじい衝撃を発し、モンスターの体を吹き飛ばしていく。

 その威力から逃れる事が出来るモンスターはいない。

 鋼鉄の、それも水圧に耐えるほどの強靱さを誇る潜水艦を撃破するための兵器なのだ。

 それよりは脆弱な鱗や筋肉で覆われてるだけのモンスターが相手なら、過剰なほどの殺傷力を持っている。

 今回も爆雷の構築した爆風・衝撃の壁に阻まれ、接近してきたモンスターが破裂していく。

 それらは例外なく肉片になり、近隣に存在していた生物の餌になっていく。

 今まで多くの海中型モンスターがそうであったように。

 接近を探知出来れば、攻撃が滞りなく行われれば、だいたいはこういった結果に落ち着く。

 今回も護衛艦が先にモンスターを発見した事により、先手を打って攻撃する事が出来た。



 その戦闘は目で見えるところでは行われない。

 全て、人の目が届かない海中で行われる。

 だから海戦は極めて地味に行われる。

 視認できる距離で行われる陸戦などよりは目立たない。

 だが、見えない所で行われる戦闘の重要性が無くなるわけではない。

 もし一匹でもモンスターを逃せば、船団に大きな損害が出る。

 小さなものでも全長10メートルの巨体を持つのが海のモンスターである。

 それらが輸送船に激突すれば、船底に大きな損傷を受ける可能性がある。

 対艦ミサイルや魚雷、艦砲ほどの威力があるわけではないが、それを受ければ航行に支障が生じる可能性は大きい。

 運が悪ければ船底が破壊されて沈没もありえる。

 だからこそ、確実に仕留める必要があった。



 今回も護衛艦の対処により、輸送船団は事なきを得ている。

 それは決して当たり前の事ではない。

 護衛を担ってる者達が持てる能力を発揮しているからこそ成り立っている。

 輸送船団は何事も無かったように進んでいくが、それを実現してるのは、船団の周囲にいる数少ない護衛艦によるものだ。

 その事に気づく者は少ない。

 運良く対潜迫撃砲などの発射に気づいた者達だけが、何かが起こってることを察知するだけである。

 そしてその瞬間はそれほど多くはない。

 通常、海の戦闘は、ほとんどが一瞬で終わるからだ。

 海に向かって発射されていく爆雷の数々。

 それらがモンスターを殲滅した瞬間に全ては終わる。

 それまでにかかる時間はそれほど長くはないのだから。

 驚くほど一瞬で全ての決着がつく。

 だからこそ、海の戦闘は気づかれずに終わる事がほとんどだった。



 護衛されてる者達が戦闘があった事を知るのは、たいてい全てが終わってからである。

 戦闘報告がもたらされて、始めて自分達が危険な状態にあったと知るくらいだ。

 それだけに、人知れず全てを終えていく護衛艦の重要性を再認識もする。

 彼等がいなかったらどうなっていたのかを想像しながら。


 今回もモンスターが接近していた事、それを撃退した事を輸送船団は護衛艦から通知される。

 それを船長は船内放送で通知していく。

 自分達がどれだけ危険な状況にあったのか、それを誰が退けたのかを伝えるために。

 船内にいる者達はその度に緊張と安堵を

おぼえていく。

 今回も例に漏れず、誰もが身近にあった危機を、それが既に終わった事を知った。



 そうしながら船団は目的地へと向かっていく。

 傍目には穏やかな海を進みながら。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまえら、教えやがれ
  ↓
  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ