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30回目 馴染みであり新人でもあるそいつを迎えにいくことに

 そうこうするうちに新年度がやってくる。

 新人が続々と配属されてきて、各部署が賑わっていく。

 そのほとんどが、入社してそのまま配属になった者ばかりである。

 まだ研修すらまともに受けてない。

 それらは開拓中のこの大陸で行うという。

 なかなかの暴挙である。

 日々の業務を動かすのに精一杯なのに、新人の教育もしなくてはならないのだから。

 仕事が滞りなく動けば良いが、それを期待する事は出来そうにない。



(なのに、なんでうちには来ない?)

 無愛想な顔をしながらタクヤは誰にともなく問いかける。

 相変わらず補充人員が来ない事を嘆いてしまう。

 周りが賑わってるから余計に落差も感じる。

 休日であってもそれは同じだった。

 新たにやってきた者達が、割り当てられた宿舎で騒いでる。

 まだ引っ越しの荷物も解いてないところが多い。

 後続でやってくる者達が荷運びをしてる事もあり、とにかく騒々しい。

(これが俺らと関係ないんだからなあ……)

 騒ぎの大きさと全く関係が無い自分の部隊の現状は如何ともしがたいものがあった。

 何より切なくさせるのが、これから向かうのが、そういう新人の所だという事だろう。



 新人としてやってくるという幼なじみが到着する。

 その為に出迎えに行く途中であった。

 少しばかり荷物があるので、一応バギーで向かっている。

 荷物はそう多くはないのでこれで充分なはずであった。

 家具などは宿舎に備え付けられてるので、必要がない。

 着替えと身の回りのものだけ持ち込めば充分であった。

 また、配属される新人達にも荷物をそこまでにまとめるよう指示が出ているという。

 なのでタクヤもバギーがあれば充分だと思っていた。



 こうした荷物の制限にも新地道の状況が影響している。

 船そのものに余裕が無いので、そんなに多くの荷物を運べないのだ。

 その為、引っ越しなどに必要な荷物などは極力少なくするようにしている。

 どうせ運ぶならば、大陸の開拓や開発に必要な物資が優先したいのが開拓を主導する者達の考えだ。

 個人の荷物を資源などより優先させるわけにはいかない。

 開拓や開発がもっと進むまでは、こうした状況が続く事になるだろう。

 それほどまでに、荷物の量を制限せねばならないほど輸送能力が足りないのだ。

 実際、大陸に移動してくる者達が家具などのかさばるものを持ち込んだら大変な事になる。

 新人が移動するこの瞬間だけの事ではあるのだが、それでも輸送能力の一部を食いつぶす事になってしまう。

 それだけはどうあっても避けねばならなかった。

 個人の荷物制限はこうして発生した。



(おかげで助かるけど)

 バイクに比べれば搭載能力のあるバギーではある。

 しかし、乗用車にはかなわない。

 そんなバギーで出迎えるので、大きな荷物は御法度だった。

(これだけは会社の指示に感謝だな)

 その他の諸々はあえて無視する。

 そんな制限が必要な所に大量の人員を送り込むのはどうなのか、とか。

 それだけ人がいるのに何故自分の所には一人も入らないのだ、とか。

(あー、駄目駄目)

 考えるだけで陰鬱たる怒りがこみ上げてきた。



 そんなこんなで待ち合わせ場所に到着し、目的の人物を待つ。

 これが新開市などであれば、携帯で電話するなりメールを飛ばすなり、SNSを使うのだろう。

 だが、通信環境がまだまだ整備中の開拓地ではそうもいかない。

 自治体や会社の業務用通信が優先されてるため、私用にまわす余裕がまだまだ無い。

 電話は使いすぎで不通状態が当たり前。

 メールも送信したものが着信するまで一日二日の差が出るのは当然。

 そんな状態では待ち合わせ場所で連絡を入れるという事など出来るわけもない。

 やむなく携帯電話などが普及する以前の、『場所を決めてそこで待ち合わせ』という古典的手段が復古している。

 ただ、この方法だとお互いに現地に何があるのかを知ってないとどうしようもない。

 何も知らないものだと現地に出向いても目的の場所が分からない事がある。

(メールで写真とかは送ってるから大丈夫だと思うが)

 そのように対策はしてるのでおそらく大丈夫だとは思われる。

 ついでに言えば、現地周辺の様子を動画におさめてもいるので、ある程度の把握は可能なはずである。

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おまえら、教えやがれ
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http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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