26回目 人は増えても自分の所に来るわけではなく
「そりゃそうと、新入りがそろそろ入ってくる時期だな」
思い出したように、タクヤがそんな事を言う。
「さすがにそろそろ新しいのを入れてもらいたいけど」
「どうなるんですかね」
「俺ら、このままな気がしますよ」
班員の方からは諦めた声が出てくる。
「そうならないように、要望は出してるんだけどな」
「上が聞いてくれないってわけですよね」
「そういう事だ」
こればかりは仕方がないと、タクヤは諦めていた。
警備という名の戦闘部隊に所属するタクヤ達の消耗は激しい。
弾薬などはもとより、戦闘において死傷者が出ることも珍しくは無い。
装備が揃っていても、こればかりは完全に無くす事は出来なかった。
軽装甲車がもっと普及してれば良いのだが、なかなかそうもいかない。
それに、バイクやバギーなどの小回りの聞く車両も必要ではある。
そうした者達が犠牲になる事も多かった。
そのため、警備部隊は慢性的な人手不足に陥っている。
それだけではない。
新地道全体における人手不足による理由もあった。
そもそもの人員が足りてない。
常に欠員状態が続いてる。
一応、最低限これだけいれば何とか仕事も回るだろう、という人数は確保されている。
しかし、それはあくまで最低限であり、仕事を回せるギリギリの数である。
余裕をもった作業など望むべくも無い。
実際、タクヤの班はタクヤを入れて4人しかいない。
これだけで班としての活動を求められている。
本来なら、あと2人ほど加えておくのが基本なのだが。
それが出来ずに、今までずっとやってきていた。
それはどこの班も同じで、タクヤ達だけが冷遇されてるわけではない。
会社としては、人員の充足をするよりも、まずは班を増やすことを優先してる節があった。
確かにそうすれば、実働部隊は増える。
動かせる駒が水増しされるので、業務をある程度はまわせるようにはなる。
下手に一つ一つの部隊や班の人数を充足させると、それが出来なくなってしまう。
各所に事業展開していて、その分だけ警備も必要な一井物産の状況だと、それでは手が足りなくなってしまう。
そのため、どこもかしこも人手不足のまま仕事をこなさざるえなくなっていた。
なお、班編成であるが。
基本的に、車両1台にバイクやバギーのような軽快な車両が2台。
これが外回りといわれる者達の、基本的な編成となっている。
車両が重機関銃などによる火力と、車体を盾とした防御を担う。
バイクやバギーがその火力を補完することになっていた。
また、軽快さを用いて周辺の偵察などに出ることもある。
この為、最低でも4人で構成される。
バイク、もしくはバギーにそれぞれ一人。
車両には運転と射撃などを分担するために、二人乗り込む事になる。
ただ、これはあくまで最低限の話である、
実際には、車両に更に二人が乗り込み、それらが車内から歩兵銃で射撃したり、様々な雑用などを担当する。
ここに副班長でもう一人追加して、合計7人で班を結成するのが理想ではある。
というか、この7人編成が本来あるべき班の構成であり、定員であった。
それが出来ない程に新地道の人手不足は深刻であった。




