表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/176

2回目 不可解な開拓業務 2

「とは言っても……だよな」

 無茶苦茶な業務を押しつけられるのはいつもの事。

 無理難題をふっかけられ、それでもどうにかやり遂げてきたのも確か。

 今更そんな事で文句を言うほど素人でもない。

 それでも、である。

「さすにがこれはな……」

 渡された辞令を、囲んだ卓に放りながらぼやく。

 武装警備隊の待機室の一角、いつも屯してる場所。

 そこで、同じように辞令を受け取ってる班員と卓を囲んでいる。

 今回の事で思った事を愚痴るために。



「班長もそう思ったんですか」

 仲間の声に、タクヤは「ああ」と頷いた。

「どう考えたっておかしいからな」

「まあ、普通に考えればそうですよね」

「何考えてんですかね、上は」

「恒例の無茶苦茶な命令なんですかね」

「さあな」

 口々に出て来る疑問兼文句に、いい加減な返事がなされる。

「何がどうしてなんて、俺に分かるかよ」

「つーと、班長も何も聞いてないと」

「まあ、班長あたりじゃ本音を漏らすなんて事は無いでしょうけど」

「うるせー」

 班長という事で、この中では一番偉いのは確かである。

 だが、数人の部下をまとめるだけであり、下っ端である事に変わりはない。

 機密などを知る事が出来る程上位の立場という事は決してない。

 与えられた指示に従い、自分も動き、部下も動かす。

 その程度の立場であり、それくらいの役職である。

 今回のような不可解な指示が出ても、

「本当に、何考えてんだか」

と他の者達と共に疑問を抱くだけで終わってしまう。

 その理由が分かるのは、全てが終わった後くらいだろう。

 それも、運が良ければである。

 機密に関わる事であれば、真相が語られる事は無い。

 何か伝えられる事があったとしても、それが欺瞞や真相を隠すための偽情報である可能性すらある。



「社長にもなれば、何があるのか分かるんだろうけど」

 冗談めかして言ってるが、実際そんなものである。

 下手すれば、社長ですらも真相が分からない、その全てを知り得ないかもしれない。

 それくらい謎は多いものである。

 なので、疑問の答えはあれこれ想像するしかない。

 それだけの自由はさすがに認められている。

 真相の詮索は認められてないし、下手に暴こうとすれば機密漏洩で処罰されかねないが。

 そんなわけで、何かあればこうやって集まり、答えが分かる事の無い疑問についてあれこれ考えていく。



 もちろん、これで答えに辿りつく事は無い。

 もしかしたら真相を言い当てる事もあるかもしれない。

 だが、答え合わせをする事は決してない。

 出来るのは、ただ推測や想像をする事だけ。

 そんな推理小説じみた楽しみをして、時間を潰すのがせいぜいである。



 同時に、こうして新たな業務がやってくる度に常に思う事。

 それを皆で確かめあっていく。

「楽な仕事だといいけど」

「また無茶を言われるでしょうけど」

「いつもみたいな感じなんでしょうね」

「もう少し楽をさせて欲しいんですけどね」

「まあ、無理なんじゃねえか。

 俺達が楽をしたくても、モンスターがさせてくれないし」

「本当に面倒だな」

 誰もが口々に思いの丈を口にしていった。

 それらの全てが愚痴でしかないのだが、言わずにはおれない程鬱憤がある。

 そして、憤りも通り越して、嘆きとぼやきも出なくなり、ただ諦めに似た感情を抱いていく。

 それを達観というのかもしれない。

「もっと楽になりゃあいいんだけど」

 決してそうなる事は無いのは、口にしたタクヤが一番良く知っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまえら、教えやがれ
  ↓
  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ