19回目 異世界における兵器開発事情 2
新地道そのものの技術力というは、さほど高いというわけではない。
あくまで日本本国や先進国に比べては、という意味においてであるが。
単純に諸外国に比べれば上位に入るくらいの能力はある。
それでも最新最高のものが揃ってるわけではない。
様々な要素を合計した工業力や生産力では、どうしても日本本国には劣る。
そんな新地道において、最新最高の兵器を揃えても扱いきれないという問題があった。
交換部品を作るにしても、それが日本本国でなければ作れないというのでは意味がない。
最新兵器を用いる場合にはどうしてもこういった問題が発生してしまう。
これでは修理すらもままならなくなる。
そもそもとして、新地道で作れるわけがない。
だからこそ、新地道でも無理なく用いる事が出来るよう、あえて旧式兵器の再生産を選んでもいた。
確実に動作するという保証も大きい。
旧式兵器は、一度は採用されて実際に運用されていた。
問題点があってもそれが洗い出されている。
そして、改善改修もされている。
そこまで手が回ってなくても、何が問題であるかははっきりしてる事が多い。
これが新地道においてはありがたかった。
自分達で一から技術研究をする必要が少ないからだ。
その分手間も省けるというのも大きかった。
新型、出来たての機器だと、この部分が問題になる。
確かに能力や性能は高いかもしれないが、どこでどんな故障が出るのか分からない。
なので、使っていって問題点を洗い出していくしかない。
そうして出て来た問題点を改善していく事になる。
そういった事を出来るだけ少なくするために、量産前に様々な実験を行う事にはなる。
なのだが、実験に費やす時間や手間すらも惜しいのが新地道である。
出来ればそういった事も省きたい、少しでも早く兵器を手にしたいと考えていた。
出来るなら最新最高の性能が欲しいのは確かである。
だが、それを手に入れるために、何も兵器がない状態を続けるわけにはいかない。
だが、いまだ存在しない最新兵器は、いつ実用化されるか分からない。
ならば、性能は劣っても確実に動作する旧式を揃える方が優先される。
新型の研究開発などは、それらが必要なだけ配備されてからでもよいのだから。
現時点で新地道が求めていたのは、故障の多い最新型ではない。
確実に動作する枯れた技術である。
そういう観点からしても、数十年前の旧式兵器は新地道に適合していた。
性能は確かに劣るだろうが、新地道の技術でも生産や運用が可能。
手が出せないほどの知識や技術が用いられてないのはありがたい事だった。
そして、実際に使われていたという実績がある。
使いものにならない程故障が多いというような事は、まず無い。
また、モンスターが相手ならば充分に高性能である。
こうして旧式兵器の再生産、そして出来る範囲での改善や改良がなされていく事になる。
誤字脱字報告、受けたところを修正訂正した。