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173/176

173回目 巨人達の終焉 5

「何を言って……」

「俺が援護する。

 あいつらが何をしてるか分からんが、何もなしで突破するのは難しいだろう」

「いや、だけど」

「奴らに近づいた途端に、あいつらは倒れた」

 先ほどの事を思い出させていく。

「何をしてるか分からんが、近づいたら危険みたいだ。

 なら、そうならないよう、俺が遠くから攻撃する」

 確かにそれも手段の一つだろう。

 そもそも遠距離攻撃による支援は戦闘の基本だ。

 それがあれば心強い。

 しかし、そうなると疑問がまた生まれる。



「だが、お前はどうする」

 援護はありがたいが、それをしてる弓持ちはどうするのか。

 どうしても居住地に残る事になる。

 それがどれほど危険であるか。

 不可解な攻撃を仕掛けてくる敵を前に、巨人達はその危険性を否応なく感じ取っていた。

 それは敵中突破よりもはるかに危険だと思われた。

 外に出ての突破は敵の攻撃にさらされる可能性がある。

 状況からみて、生き残る確率は低いだろう。

 だが、それでも生き残る可能性がある。

 しかし、残って援護すればどうなるか。

 敵が確実に殺到してくる。

 そうなれば、あの正体不明の攻撃によって確実に死ぬだろう。

 ほぼ確実に。

 それでも弓持ちは、

「むろん、ここに残る」

 平然と答えた。



「少しくらい無茶をせんといかんだろ」

 その声に、巨人達はふるえた。

 恐怖や怒りや諦めのせいではない。

 確かな覚悟に触れ、否応なく感化された為に。

 この時巨人達は、無意識に感じていた恐れを忘れた。

 そして、確かな勇気と意義を見いだした。

 絶対にこの場から生きて戻り、事の次第を伝えねばと。

 目の前の男に報いるためにも。



「何を話してんだかねえ」

 偵察用ドローンから流れてくる映像。

 それを見て、巨人達を取り囲む兵員達はあれこれ想像していく。

「作戦会議じゃないか」

「逃げる算段だろ」

「籠城戦かも」

「さすがに慌ててるんだろうな」

「仲間があんだけ倒れたからなあ」

 好き勝手な事を言っている。

 そこには余裕があった。

 それもそうだろう。

 一人の損失も損害も負傷もなく相手を圧倒したのだ。

 自分たちが有利だというのは既に実証されている。

 接近されたら危険だが、されなければ問題は無い。

 そして、近づく前に敵は倒す事が出来る。

「銃は偉大だ」

 あらためてその事実を痛感する。



 そんな彼らの目に、ドローンから流れてくる新たな映像が見える。

 弓を構えた巨人だ。

 その矢が撮影してるドローンに向けられている。

「なんだ?」

「え?」

「おいおい……!」

 最初は混乱した。

 意味が分かると慌てた。

 そんな彼らの見てる前で、巨人は引き絞った弓から手を離した。

 矢が放たれる。

 それはドローンに向かってまっすぐに飛び。

 映像を途絶えさせた。



 とはいえドローンは一つだけではない。

 いくつも浮かんでおり、様々な角度から撮影をしている。

 すぐに状況が分からなくなるという事は無い。

 それでも死角は生まれるし、それを補うのもすぐにというわけにはいかない。

 慌てて新たなドローンを飛ばそうとするも、そうしてる間に弓持ちの巨人に次々撃墜されていく。



「化け物だな」

 一機、また一機と撃墜されていくドローン。

 そのたびに黒くなっていく画面を見ながら、指揮所にいた通信士が嘆息する。

「回復は出来るか?」

「出来ますが、すぐには無理ですよ」

 尋ねてきた上司に、通信士は事実をありのままに伝える。

 それは上司も分かっているのだが、あえて事実確認をしていく。

「出来るだけ急いで回復させよう。

 その間、少しでも状況を把握出来るよう他の画面で監視してくれ」

「分かってますって」

 答えながら通信士は、まだ生きてる画面に目を向ける。

 空を飛んでる偵察ドローンは落とされたが、地上に設置したカメラは生きている。

 そこから入る映像を見て、出来る限りの事はしていく。

 ただ、

「これもいつまで保ちますかね」

 それが心配だった。

 何せ、飛んでるドローンを弓矢で落とす奴だ。

 動かない地上のカメラなど的にもならないだろう。

「見つからなければいいが」

 上司もそれが心配だった。

 こればかりは相手次第なのでどうにもならない。

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おまえら、教えやがれ
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  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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