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異世界防衛戦記 ~トンネルの向こうは戦場だった~  作者: よぎそーと
3章 巨人

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172/176

172回目 巨人達の終焉 4

「落ち着け」

 一人、弓を構える巨人が周りをなだめる。

「慌てても意味がない。

 それよりも、やれる事をやろう」

 もっともな話だ。

 無理をしてもしょうがない、やれる事に全力を尽くすべきである。

 今この状況で何をすれば良いのかという問題はあるが。

「どうしろと?!」

 一人が激高する。

「あんな訳の分からない事が起こって。

 どうすりゃいいってんだ!」

「分からん」

 答えは平坦で素っ気なく放たれた。

「俺もどうすればいいか分からん。

 だが、慌てても意味は無いだろ」

「だからって!}

「それよりも、まずは連絡をとろう。

 急いで国へ向かうんだ。

 ここで起こった事を伝えに」

 言われて大半の者が『はっ』と我を取り戻す。

 確かにそうだ。

 本国への連絡。

 まずはそれが大事と思い出す。



 緊急時には何はなくとも連絡を。

 起こった出来事を正確に伝える事。

 それは鉄則である。

 でなければ、何が起こってるか分からず、対応が遅れてしまう。

 取り返しのつかない事になってしまう事もある。

 だから、まずは連絡を。

 その事を巨人達は言われるまで忘れていた。



「だが、誰が行く」

「全員で行った方がいいだろう」

 問いかけに弓を持つ巨人は、これまたあっさりと答えた。

「既に分かってると思うが、この周りはあの小さき者達に囲まれてる。

 そこを突破するとなると、一人や二人では難しいかもしれん」

「そんな事────!」

「不可思議な手を使って我らを倒してるのを忘れたか?」

「…………それは」

「何が起こってるかしらんが、あの『パン』とか言う音。

 それが鳴ると同時に仲間が倒れていった。

 おそらく、何かをしてるのだろう。

 そして、周りを取り囲んでる小さき者はそれが全員出来るのかもしれない。

 だとすれば、包囲してるあいつらを突破するのも難しい」

「…………確かに」

「そうだな」

 弓持ちの言うことを他の巨人も理解していく。

「ならば、全員で突破するべきだ。

 それでどれくらい報告に戻れるか分からんが。

 一人くらいならどうにかなるだろう」

 それを聞いた巨人達は顔をしかめる。

 いくらなんでも、一人という事は無いだろうと。

 残った全員で駆け抜ければ、かなりの人数が助かるのではないかと。

 だが、そんな気持ちを見透かしたのか、弓持ちは言葉を重ねる。



「楽観など捨てろ」

「…………」

「先ほどのを見ただろ。

 敵に向かっていった全員が死んだ。

 全員がだ。

 こんな事、今まであったか?」

 無い。

 こんな事今まで無かった。

 少なくとも小さき者を相手に、自分たちが一度に大量に倒れるなんて事はなかった。

「相手を侮るな。

 どんな手段をとってるか分からんが、あいつらは俺たちを倒すだけの力がある。

 それを持ってる奴らの中を突破するんだ。

 簡単にはいかん」

 言われて巨人達は、あらためて状況を把握する。

 自分たちがとてつもなく危険な状況にあると。



「だから行け。

 敵を突破してこの事を伝えに」

「……分かった」

 促されるままに巨人達は頷く。

 確かに楽観は出来ない。

 少しでも成功率をあげるために、なるべく多くの者達で突破した方がいい。

 そう考え始めた彼らに、

「俺が援護する」

 弓持ちは決然と言い放つ。

 巨人達は『えっ』と驚いた顔をする。


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おまえら、教えやがれ
  ↓
  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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