表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/176

169回目 巨人達の終焉

『出てきたぞ』

 飛ばしたドローンや狙撃鏡、装甲車の望遠鏡など。

 様々な手段で得た情報が兵員に伝えられていく。

 あちこちにある視点は巨人達の姿をしっかりととらえていた。

 巨人達が武器を手にしてる姿を。

 それを聞いて、兵員達はためらう事なく銃弾を装填していく。



 そのまま互いに接近をしていき。

 銃の射程内に巨人をとらえる。

 だが、生い茂る木々が邪魔をして攻撃するのが難しい。

 その為、もう少し距離をつめる事にする。

 装甲車や木々に隠れながら。



 巨人達はというと、動きに特に変化はない。

 地球人達に向かって駆けていく。

 そこに警戒やためらいはない。

 目に映る群を殲滅しようとする熱気だけがある。

 彼らの頭には、これから粉砕される小さき者の姿が浮かび上がっていた。

 手にした剣や斧で吹き飛ばされる者達。

 生きていた者達が肉片になる瞬間。

 かつて何度も見てきたその光景が彼らの頭の中で再生される。

 それを彼らは全く疑ってなかった。



「お先に!」

 そういって一人駆けぬける者が居る。

 巨人達の中でも俊足をうたわれる者だ。

 常に先陣を切り、敵に一太刀を打ち込んでいく。

 輝ける一番槍。

 それを為すだけの度胸と俊敏さ、そして加護を持ってる者だった。

「またか!

「ちくしょう」

「早いな、やっぱり」

 見送る巨人達は憎まれ口のような苦笑をあげていく。

 なんだかんだ言いつつも、敵に切り込んでいくだけの度胸などは評価してるのだ。

「俺の分も残しておけよ!」

 誰かがそう叫ぶと、周りに居た巨人達が笑い声をあげる。

 その冗談に先走る巨人は、手を上げて応じる。

 まだ声が届く位置だったようだ。

 後ろに続く巨人達は、

「どうやら少しは残してくれるようだな」

「じゃあ、俺らも頑張らないと」

「あいつだけに押しつけるわけにはいかんしなあ」

 といった事を笑いながら口にしていく。

 彼らは確信していた。

 向かってくる小さき者を粉砕する事を。

 目の前を走る仲間が、突如崩れ落ちていく姿を見ても。



 それは唐突な出来事だった。

 先を走る巨人は、手にした剣を掲げながら、小さき者達へと駆けていく。

 相手との距離はもう200メートルを切っていた。

 巨人の足ならば、それらも瞬時に駆け抜ける事が出来る。

 あとは走りながら剣を振り、手近に居た者を切り捨てるだけだった。

 そのはずだった。



 突如体に衝撃を受ける。

 それも何カ所も。

 何事だと思う前に痛みが体のあちこちから上がってきた。

 主に胴体から。

 そして、腕と脚からも。

 それらが、

『パン!』

という乾いた音の連続と同時に訪れたのはすぐに理解出来た。

 だが、音と痛みの関係性は全く分からなかった。

 その痛みが全身に発生すると同時に、体の中に違和感をおぼえる。

 痛みだけではない、何かが失われるような。

 その感覚と同時に、胸から何かがこみ上げてくる。

「……………ぐぼわ!」

 口から何かがこぼれた。

 それが血液である事を理解するよりも早く地面に倒れる。

 体が動かない。

 なんで、と思ってる間に再び、

『パン!』

という破裂音の連続。

 その音に続いて鉛の弾丸が倒れた彼の上を通り過ぎていく。

 そういった物体がある事にはさすがに気づかない。

 だが、後方で何かが倒れる音がするのは聞いた。

 自分と同じく仲間が倒れた音だと気づく事もなく、先駆けていた巨人は意識を失っていった。



 走って接近してくる巨人を見て、タクミ達はすぐに銃を構えた。

 そして、狙いをつけて引き金を引く…………より早く装甲車の機関砲が火を噴いた。

 歩兵銃より派手な音をたてて発車された20ミリ弾は、容赦なく巨人を撃ち抜いていく。

 それでも一撃で倒れないのはさすがというところか。

 しかし、距離をつめ射程に入った巨人を襲うのは装甲車だけではない。

 木々に邪魔されずに狙えた者達が次々に射撃を開始していく。

 巨人は全身に7ミリの銃弾を受けていく事になった。

 全身に小さな穴を開けていく。

 その穴から血を流しながら巨人は倒れていく。



 それを見てタクミは、後続の巨人達に照準をつけていく。

 倒れた奴よりも、まだ動いてる敵の方が脅威だ。

 それらを先に倒さないと自分たちがまずい。

 格闘戦の距離に入ったらタクミ達の方が不利だ。

 絶望的な体格差のある巨人に、接触距離で勝てるわけがない。

 接触する前に倒さねばならない。

 なのだが、その心配はすぐに消えていく。

 他の者達が接近してくる巨人達を倒していったからだ。

 狙いをつけるも、タクミの出番は既になかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまえら、教えやがれ
  ↓
  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ