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異世界防衛戦記 ~トンネルの向こうは戦場だった~  作者: よぎそーと
3章 巨人

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168/176

168回目 巨人達の対応

「まあ、わざわざ近寄ってきたんだ」

「それなりの歓迎をしてやらないとな」

「それでどうする?」

「決まってる、そんな事」

 獰猛な、あるいは嘲りを込めた笑みを巨人達は浮かべていく。

「小さき者の扱い方など、言うまでもないだろ」



 彼ら巨人が身の回りの世話に用いてる小さき者。

 地球人と同じくらいの体格を持つその者達の彼らの扱いは劣悪というしかない。。

 日常生活を支える為の奴隷として。

 そして気ままなストレス発散の対象として。

 気にくわない事があれば蹴り飛ばしてうさをはらし。

 遊びとして、ボールがわりにどこまで飛ばせるか競うさいに投げられたり。

 狩りの練習で、逃走させた小さき者達を追い回し、弓で射て手斧で粉砕したり。

 巨人達からすれば、小さき者と呼んでる存在の価値はその程度でしかない。



 今回、この異世界にてそれが新たにあらわれた。

 ならば、それらも捕まえて同じように扱うだけである。

 巨人にとって小さき者とはその程度のものでしかない。

 それは彼らの世界でそうなったからだ。



 彼らの出身である世界では、巨人と小さき者との間で戦争があった。

 数において勝る小さき者であったが、一人当たりの戦闘力の差があまりにも大きかった。

 それでも当初は拮抗していたが、砦が、城塞が一つ、また一つと陥落する度にその拮抗が崩れていった。

 ついにはそれが臨界点に到達し、小さき者の勢力の崩壊につながった。

 結果、小さき者はその数において圧倒的に劣る巨人達に征服されるに至った。

 その後の扱いは既に述べた通り。

 奴隷として使われるならまだまし。

 死ぬ事がないからだ。

 しかし、たいていは巨人達の気ままさによって蹂躙される。

 もともと敵対していただけに、巨人達に小さき者への同情や憐憫はない。

 何より彼らの考え方がそういった事に疑問を持たせる事がなかった。



 ──勝った者が正義

 ──強い者が正義



 それ以外の考え方、あるいは心情というべきだろうか。

 そういった性質を持つ巨人達には、負けた弱者である小さき者が虐げられるのは当然という感覚があった。

 それは向かってくる地球人達に対しても同じであった。



 そんな彼らは最近起こった出来事を忘れていた。

 破裂音のした場所で死んでいた同胞の事を。

 体のあちこちに小さな穴を開けていた者を。

 どうしてそうなったのかはいまだ原因不明。

 巨人達の間でも大きな疑問になっていた。

 なぜこうなったのかと。

 どのようにしてこんな状態にしたのかと。

 何より、誰がこんな事をしたのかと。

 まだ発見してないモンスターの仕業なのかと考える者もいた。

 ただ、その死体と今迫ってくる地球人の関連性を考える者はいない。

 無意識のうちにその可能性を否定している。

 否定というより、発想する事が出来なかった。



 先入観。

 これほど恐ろしいものはない。

 まさかこれはないだろう。

 さすがにそれはないだろう。

 そういった思い込みは、想像力の幅を大きく狭める。

 思いついた可能性を無意識に除外するからではない。

 そもそもとして、思いつきそのものを発生させなくしてしまう。

 今の巨人達がまさにそういう状態だった。



 彼らは小さき者が自分たちより強いとは考えてない。

 小さき者が自分たちより優れてるとは考えない。

 また、自分たちより優れた技術などがあるとも思ってない。

 あるいにしても、それを小さき者が作れるとは思わない。

 劣等なる小さき者が、自分たちを越える何かを持つとは思いもしない。

 だから思いもしなかった。

 死んでた巨人が小さき者によって倒されてるという事を。

 彼らは思いもしなかった。

 自分たちの想像も出来ない何かによって仲間が殺された可能性を。

 それを為したのが、この世界で遭遇した小さい者によるものだと。



 結果としてそれが慢心へとつながっていく。

 自分たちの世界にいたのとは違う小さい者。

 それらを自分たちの基準ではかっていく。

 どうせたいした事は無いだろうと。

 武器を手にしてたとしても、その威力はたいした事は無いだろうと。

 そう考えるからこそ、死んでいた者を地球人と組み合わせて考える者がいなかった。

 だから、最悪の事態に自ら突っ込んでいく事になる。

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おまえら、教えやがれ
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  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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