167回目 巨人対策 6
「来たか」
やってきた装甲車を見てタクミは安心をおぼえる。
これで巨人の攻撃にいくらか備える事が出来る。
その手段が得られたのが大きい。
それらと共に行動を開始していく。
「行くぞ」
部隊長の声が聞こえる。
それに従い、タクミ達は進軍を開始していった。
到着したのは一井物産が率先して配備している小型装甲車である。
大きさは軽自動車とほぼ同じ。
その分武装も防御力もさほどではない。
だが、小型軽量だから侵入できる地形が多い。
未開地だらけのこの地域にはもっともふさわしい。
火力も、より大型の装甲車や戦車には負けるが、兵士よりは高い。
20ミリ機関砲を構える無人砲塔は、巨人相手ならば十分な威力を発揮してくれるだろう。
また、小さいとはいえ、それでも何人かが姿を隠すには十分な大きさである。
ささやかであっても、壁として役だってくれるなら文句は無い。
タクミ達兵士にとっては、そんな遮蔽物でも有ると無いのとでは大きな違いになる。
それらを先頭にして進んでいく。
巨人達の潜む彼らの居住地へ。
この異世界における、二度目の異種族との戦闘になる。
進んでいく全員、気を引き締めて前へと進んでいく。
その気配は巨人達も察知していた。
もとより地球人類より能力では優れてる巨人達だ。
気づかないわけがない。
それこそ、居住地の周辺で何やらこそこそと動いていた事すら気づいている。
ただ、近寄ってくる気配もないので無視していた。
音だけ聞こえる蚊のようでうっとうしかったが。
それが今になっていきなり接近してきている。
その事にも驚いていた。
「何を考えてる?」
巨人の一人が疑問を浮かべる。
「今まで周りをうろちょろしてるだけだったが」
「何か用なのかな」
「分からん」
相手の意図が読むような神がかった力は彼らにはない。
だから近づいてくる者達の意図が分からなかった。
「それに、先頭にあるあの箱のようなもの。
あれは何だ?」
初めて見る装甲車にも疑問を抱く。
それは彼らの世界にはない物だ。
どういうものなのか分からなくても当然だろう。
ただ、
「自分で……動いてのか?」
「どうなってるんだ、あの箱は」
「中に人が入って押してるのかもしれんが」
「だが、何のためにそんな事を……」
「攻撃を防ぎながら接近する為じゃないか」
「なるほど、それなら」
「ありえるな」
当たらずしも遠からずといった推測をしていく。




