表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/176

165回目 巨人対策 4

 それでも、せめて装甲車を送り込もうという者達はいた。

 ありがたい事にその要望は通り、巨人達のいる地域に送り込まれる。

 最悪なのは、その到着を待つことなく攻撃指示が飛んでる事だった。

「到着するまでに少しでも倒しておけ。

 これ以上増える前に」

 それが突入を急ぐ上層部の考えだった。

 今少し待つようにと進言した者達への返事でもある。

 この呆れた言動は即座に前線部隊の者達に伝えられ、怒りを買う事になる。



「だったら最初からもってこい!」

「調査ばっかさせやがって」

「こうなるのは予想してだろうが」

「なんで先に装甲車をもってこない」

 誰もがそう叫んでいた。

 それらに間違いは一切無い。

 もともと巨人との衝突は考えられていた事だ。

 ならば、事前にそれなりの戦力を用意しておくべきである。

 それを怠り、調査だけに時間を費やし、これはまずいと思った途端に総攻撃の指示。

 頭がおかしいのかと思われても仕方がないだろう。

 事前に分かってる、想定してるのにその為の準備をしてないのだから。

 そして、慌ててとりかかるという愚劣さ。

 夏休み終了直前に宿題に手をつけるようなものだ。

 子供ならともかく、いい年齢をした大人のやる事とは思いたくもない。

 しかし、そんな事が現実に起こってしまっている。

 それで命を危険にさらすのは、常に最前線の者達だ。

「ふざけんな!」

「ぶっ殺してやる!」

 物騒な声があがる。

 何より恐ろしいのは、その叫び声が現実になる可能性がある事だ。

 そうやって問題のある連中を淘汰してきたのが、この異世界における新地道の歴史である。

 兵士を使い捨てにするような者達は、それこそ命をもって償う事になる。



 それは上層部も分かってるはずであった。

 だが、比較的安全な立場に長くいると、感覚が鈍っていく。

『これくらいは大丈夫だろう、これくらいは分かってくれるだろう』

 そんな考えが浮かんでくる。

 当たり前だが、そんな事は全くない。

 自分がどう思おうと勝手だが、それに他の者が付き合う義務や義理はない。

 馬鹿げた事をやれば、それが命や損失に関わることならば誰も納得はしない。

 死んで名誉になる武士ならいざしらず、兵員達は武士ではない。

 死んで花実が咲くとは全く思わず、生きてこの世を満喫する事を優先している。

 そんな当たり前の者達に、死の美学など求める方がどうかしている。

 今回、下手をうった一井物産の上層部は、現場からそれなりの恨みを買う事になる。

 それがどんな結果につながるのかは、本人が身をもってしる事になるだろう。



 だが、それはそれとして、命令は命令である。

 業務として服さねばならない事だ。

 なので、兵員達はいやいやながらも敵地に向かっていく。

 …………わけもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまえら、教えやがれ
  ↓
  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ