162回目 巨人対策
「武装部隊を送り込もう」
当然、そういった提案も出てくる。
「何かあってからでは遅い。
早急に対処するべきだ」
「しかし、まだ結論を出すのは早くないか?」
「部隊の派遣には賛成だが、あいつらを倒す必要があるのか?」
「もう少し相手を調べてからでもいいと思うが」
「何にしても悠長にはしてられんぞ」
「もしこいつらが何かをしでかしたらどうなるか。
それから動き出したら遅れをとるかもしれん」
「駐在部隊の増員は即座に行った方がいいだろう」
概ね、武装部隊の派遣という事で考えは一致していく。
だが、その後の展開については様々な考えが出てくる。
しばらく様子を見るべきという者達。
早急に対処(攻撃)するべきという者達。
会話や対話が出来るならばこの限りでは無いが、現状ではそうなる可能性は低いと見積もられている。
もともと巨人達を観察してきた結果もある。
集められた記録を見る限りでは、とても友好的な存在とは思えないものがあった。
好戦的、あるいは暴力的。
そういった性質の持ち主としか思えないような行動が見られた。
何より警戒心を抱かせたのは、彼らの中に居る小さな者達への態度だ。
地球人とさほど変わらない大きさをした人類。
巨人達の中にいるその者達への振る舞い。
彼らの扱われ方。
それを見る限り、とても穏便で穏健な話し合いが出来るとは思えない。
もともとそう思われていたところに、今回の出来事だ。
最大限の警戒をして接触するべき連中という印象が確定するのも当然だろう。
そんな巨人への対応や対処が、結局は同じ所に落とし込まれるのもむべなるかな。
武装部隊を前面に押し出しての警戒という時点で、もうどういう態度をとるかは決まったようなものだ。
あとはその範囲で穏便にやっていくか、強硬手段をとるかの違いでしかない。
そして、どれほど穏便にやるにしても、それが痛みや出血を伴うものである事に変わりは無い。
行き着く先は一つである。
『やられる前に、やる』
武装部隊の招集。
それと同時に巨人達の住処近くの基地拡張が更に進められていく。
今後の事を考え、より多くの部隊を駐屯させるために。
敵が危険な連中であるとするなら、戦力は多い方がいい。
過剰と言えるほどでもかまわない。
あとで足りなくなる事を嘆くよりは、無駄になるくらいの準備があった方がマシだ。
対処できずに困るよりも、あっさりと解決出来る方が良いのだから。
そして、あらためて危険な脅威と判定された巨人達。
その住処への警戒と監視の強化も求められていく。
何にせよ情報は必要になる。
それは今後も変わることは無い。
脅威となる存在が消えるまでは。




