16回目 別大陸開発に至る理由 4
対応を開始した新地道は、基本的な対応方法を策定した。
とはいえ、やれる事は少ない。
相手がどんな存在なのか、何を意図してるのかも分からないのだから。
そもそも、接触したとしても意志の疎通すら可能なのかも分からない。
なので、まずは接触する事から開始するしかない。
その上で相手の反応を見て対応を決めていこうと。
それであっても、最低限の主張はせねばならない。
求めるのは争乱にならない程度の接触。
その為の領域の設定。
言うなれば国境と領土の決定である。
お互い、不用意に接触しなければ無駄な争乱は発生しない。
その領域を決める事が出来れば、問題はさして大きくはならない……はずである。
ただ、これも相手との意思疎通が可能であればの話になる。
もし意思の疎通が出来なければ、交渉がそもそも出来ない。
その場合、最悪の状況に陥る事もありえた。
そうなったらもうどうしようもない。
こういった状況になってしまったら、仕方のない事と諦める事にもした。
全てが思い通りに行く事もないのだから。
ただ、接触をするにしても、相手のいる場所まで出向く必要がある。
相手ははるかに遠い大陸にいるのだ。
接触するとしたら、そこまで行かねばならない。
その為には、中継する場所も必要になる。
別の大陸の開拓開発はその為である。
「最低でも港は作っておかないとな」
他にも船舶の整備場や燃料の貯蔵庫も必要である。
それらをひっくるめて港だ。
全てが出来上がるまで、おそらく数年はかかるだろうと言われている。
「長丁場になるだろうしな」
全ては相手の出方次第ではある。
もし相手と意志の疎通が可能で、互いの領域を設定出来れば。
そして、上手く交流や交易が出来るのであれば。
大きな問題にはならない。
単純に別大陸の開拓や開発を進めていく事になる。
だが、そうでなければ……。
中継地は単なる中継地でなくなる。
「……何にしろ中継地は必要になるだろうし」
「大分前倒しになったけど、他の大陸進出もする予定でもあったしな」
「今回のはそのきっかけになったって事になればいいけど」
平和なところに落ち着いたならば、そうなっていくだろう。
別大陸につくった設備は、その大陸の玄関口になる。
そして、他の大陸に向かうための中継地になる。
いずれ始まる予定だった他の大陸への進出が早まっただけともなる。
しかし、そうならなかった場合、中継地は別の役目を担う事になる。
資源の確保と生産拠点。
それでもって、来るべき最悪の事態に立ち向かうための備えにしていかねばならない。
避けられない衝突のために。
「だが、とにかく時間がな……」
問題はそこである。
もし相手との衝突になってしまったら。
備えが何もない状態では、かなり不利な状態で事が始まってしまう。
まだ生産体制が何も出来上がってないのだ。
こんな状態で最悪の事態に突入したくはなかった。
「何とかして時間が確保出来ればいいんだが」
それだけが問題ではないが、それが当面の気がかりであった。