159回目 巨人調査 7
その接近はタクミ達にも容易に伝わった。
周囲を警戒していた者が見つけ、無線を通してしらせてきた。
すぐさま全員が近くに隠れる。
巨人がそのまま通り過ぎる事を願いながら。
そうならなかった場合はどうしようと考えながら。
とはいえ対応方法は決まっている。
こちらの存在を感づかせるわけにはいかない。
発見されてる以上、完全に隠せるわけもないが。
それでも、誰が相手なのか、どういった者なのかを隠す必要はある。
見聞きした事を報告させないようにする事で。
その為にとれる方法は一つ。
見つかったら倒すしかない。
もちろん、そうしなければならないと決まってるわけではない。
相手が友好的な対応をしてくるなら、何事もなくお別れする事が出来る。
しかしそれが出来るかどうかはなんとも言えない。
見つけた瞬間に攻撃してくるかもしれないのだ。
そうであるならば、無駄な殺生をしないで済む。
なので、そこまで好戦的で無いことを願っていた。
その場に潜んでる全員が。
接近する巨人は、発砲をした辺りに到着すると、足を止めて周囲を見渡した。
どのあたりで音が起こったのかは把握してるのが分かる。
それだけ優れた感覚器を持ってる。
そして、それだけの判断が出来る頭がある。
少なくとも馬鹿やおろかではない。
だからこそ、敵だった場合には恐ろしい脅威となる。
その可能性を秘めた巨人は、まさしく巨人だった。
身長は建物の一階くらいは簡単に超えている。
目算だが、二階建ての家に迫る高さがあった。
最低でも3メートル。
概ね5メートル近くの巨体である。
白い髪に白い肌、筋骨隆々の体躯。
布とおぼしき衣服がみてとれる。
その上にモンスターの革をまとっている。
航空写真などで見たとおりの格好だ。
近くで見ると、細部がより鮮明に分かる。
情報収集にあたってる部署からは、写真などにおさめておけという要望が出そうな程だ
。
当然ながらそんな余裕は無い。
その場に居るタクミ達は、そいつがさっさと消えてくれるのをひたすら願った。
今の段階での接触は好ましいものではない。
まだ情報を集める段階だ。
この時点での接触は出来るだけ避けたい。
そういった指示も受けてる。
そうでなくても、よくわかってない連中である。
下手に戦闘に突入しても勝てるかどうか分からない。
銃弾が効かない程に硬いかもしれないのだ。
もしそうだったら、現状で生きて帰る事は難しくなる。
そこまで大きな脅威ではないかもしれない。
それでも、考えられる最悪の事態を想定してタクミ達は動いていく。




