158回目 巨人調査 6
道のない道を進むこと数日。
目的地近くにたどり着いた一行は、持ってきた機材の設置位置を確認していく。
場所については既にある程度決まっている。
航空写真や衛星写真で候補となる場所はわりだしてある。
あとは実際に現地の状況を確かめるだけだ。
こればかりは実際に見てみないと判断しようが無い。
その作業を担当するタクミ達は、体力と神経を使って作業をすすめる。
巨人達の姿が見える場所。
それでいて発見されにくい場所。
そんな都合の良い設置場所を探していく。
巨人の目を気にしながら。
一応、相手の行動などを見て作業をしている。
相手が来ない時間、来ない場所。
その近くに潜んで仕事をしていく。
事前に得た情報でそれらはある程度分かっている。
そこまで緊張や警戒をする必要は無い。
なのだが、突発的な出来事というのはどこで発生するか分からない。
万が一にも何かが起こったら…………と考えると、やはりある程度の警戒はする。
どれほど順調に物事が進んでいても、こればかりは避けようが無い。
戦闘を担当する彼らは、その怖さを実際に体験してきている。
それが命を失う可能性を秘めてるから、誰もが周囲への警戒を怠れなかった。
好事魔多し。
やはりというか、どうしてというか。
思ってもいない「まさか」が起こる。
巨人達の居住地をとらえる事が出来る場所。
それなりに離れ、そこそこ見晴らしの良いところ。
とある木にのぼってそんな場所を見つけていた時だった。
たまたまそこにモンスターがあらわれた。
それを手にした銃で撃退した。
消音器がついてるので、音はそれほど大きくはない。
全く無くなるわけではないが、響き渡るほどにはならない。
まして森の中である。
木々の合間をくぐり抜けてるうちに、音は小さく、そして消えていく。
人間が相手ならそれで問題はなかっただろう。
だが、相手は人間ではない。
たまたまその時、巨人の一人が比較的近くにいた。
そんな彼の五感は人間より優れていた。
そして、この時この巨人は警戒や偵察にあたっていた。
その為に、加護と呼ばれる力を使っていた。
通常時よりさらに五感が鋭くなっている。
そんな状態である。
抑制された発砲音をとらえる事など造作もない。
初めて聞くその音に、巨人は警戒をあらわにした。
そして、音の出所を確かめる為に動き出す。