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150回目 投入戦力

「会社も奮発したな」

 出発にあたって用意された車輌を見て、誰もがそう思った。

 通常の探索、あるいは偵察の時よりも重装備である。

 そこに会社の本気を垣間見る。

「やる気はあるみたいだ」

「そうでなきゃ困る」

 いつもは経費を気にする会社らしくもない。

 重装備を用いればその分運用に金がかかる。

 にも関わらず今回はその重装備を(会社基準では)ふんだんに使っている。

 それだけ色々と考えてるのだろう。

「いつものSUVでないのは嬉しいな」

 多少の皮肉も込めて、そんな事を口にしていく。



 通常、企業部隊が使うのは一般車両である。

 多少の改造は施されてるが、防御力などは低い。

 多少大型のモンスターの体当たりを受けたら、車体が破壊されかねないものがほとんどだ。

 大手企業の武装部隊と言えども、装備してるものはそのあたりが限界である。

 装甲が施された車輌もあるにはあるが、全体からすれば少数でしかない。

 企業部隊の切り札であり、使用される事は滅多にない。

 それが今回投入されているあたりに、上層部の本気が感じられた。



 とはいっても、企業部隊の戦闘車両である。

 火力や防御力は軍に及ぶものではない。

 装甲車両の大半は、自動車を強化したような軽装甲車である。

 それでもあるだけありがたいものではある。

 それより更に強力な車輌となるとかなり少なくなる。

 自治体ほど予算を確保出来ない企業なのでここは仕方が無い。

 今回投入されてる車輌は、その中では強力な部類ではあった。



 大きさはさほどでもない。

 乗用車と同じくらいだろうか。

 装甲戦闘車両としてはかなり小さな部類に入る。

 生産性を考慮した結果である。

 物資も資金も余裕のない新地道自治体では、簡単に戦闘車両を揃える事ができない。

 また、輸送機によって展開出来る事を求めた故でもある。

 異世界で使用されてる輸送機は、戦車を運べるほどの輸送力はない。

 大型の装甲車も用いるには無理がある。

 こういった事情もあり、空輸出来るくらい小型軽量の装甲車が必要だった。



 そもそもが、第三大陸での戦争が激化してきた頃に考案されたものである。

 とにかく急いで開発・生産し、戦線を支える事が出来るよう求められていた。

 それを叶える形で、参考になる世界の戦闘車両をもとに作られた。

 結果はまずまず良好と言えるだろう。

 求めた性能はとりあえず獲得したのだから。

 諸々の事情という名の妥協と打算の結果だったとしてもだ。



 何はともあれ、最低限の戦闘能力は持っていた。

 モンスターの攻撃を凌げるだけの装甲。

 モンスターを撃退出来るだけの火力。

 また、軽量ゆえに比較的低馬力の機関でもかなりの速度とそれなりの航続距離を示す。

 それは間に合わせの戦力としては最低限の、企業で使うには充分な能力だった。

 これが地球であれば物足りない戦闘力ではあっただろう。

 だが、そこまで強力な敵のいない異世界では充分である。



 これらを投入するあたり、会社の本気が伺えた。

 余程の事がない限りは使おうとはしないのだから。

 いくら小型軽量で運用が楽とはいえ、他の車輌に比べれば手間がかかるものだ。

 おいそれと使おうとはしない。

 多少はその気になってる事が、下っ端達にはありがたかった。

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おまえら、教えやがれ
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  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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