147回目 新勢力への観測・偵察 4
それは巨人達の住居の中にいた。
外に出る事は滅多になく、住居内で様々な作業を行っていた。
炊事・掃除・洗濯などなど。
住居内の環境をととのえている。
それが彼等の仕事なのだろう。
しかし、その待遇は決して良いものではなかった。
率直にいえば劣悪、そして悲惨なものだった。
彼等は巨人達よりも立場が悪いらしく、かなりぞんざいに扱われている。
何が理由か分からないが、蹴飛ばされたり掴んで投げ飛ばされたり。
理由は不明であるが、遊びのように叩きのめされていた。
それでもまだ住居にいる間はいい。
時折外に連れ出されると、もっと悲惨な目にあっていた。
モンスターをおびき出すための、いわば餌にされていたり。
弓や投擲の練習の的にされていたり。
酷い時には娯楽として殺されたり。
命が尊重されてる様子は全くなかった。
もしそうであるならば、頭を掴まれて空高く投げ飛ばされる事はないだろう。
それで遠投をして、どこまで飛ぶか競ってるような場面があった。
当然、投げられた人は地面に激突して死ぬ。
その際に、衝撃で破裂する者もいる。
それが巨人達には面白いらしく、大口をあけて笑っている。
見ていて胸くそが悪くなる光景だった。
そこから察するに、小さい人間達は巨人の奴隷なのだろうと思われた。
細かな作業をさせ、巨人達が労力を使わずに済むようにするために使われている。
そして、娯楽として様々な扱いをされて殺されていく。
その残虐さは見てる者に嫌悪感を抱かせるに充分なものだった。
そういった部分から、巨人が何かしらの残虐性を持ってる可能性があった。
特に地球人は彼等から見れば取るに足らない存在と思われるかもしれない。
奴隷にされてると思われる者達と地球人は同程度の体型をもっているのだから。
その一方で、こうした奴隷制は地球上でもあった事から、巨人が一概に残虐とは言えない可能性もある。
人種差別はあるかもしれないが、交渉の余地が全く無いとは言い切れない。
そこは彼等との接し方にもよるだろう。
だが、接触が危険を伴うものになるだろう事は、充分に考えられた。
その為、どうやって接触しようか悩む事になる。
ただ、何にしてももう少し情報を集めたいところだった。
空からではなく、もっと接近して。
危険を伴う作業であるが、可能であるなら実施したいと考えていた。
研究部門や上層部は。
それをやらざるえない実働部隊は、
「冗談じゃない」
と辟易していたが。