145回目 新勢力への観測・偵察 2
巨人と呼ばれるようになった異世界からの来訪者達。
長距離偵察機による撮影ではっきりとした彼等の姿は、世間にそれなりの衝撃を与えた。
ただ、大きな混乱をもたらすほどではない。
「さすが異世界だ」
「何が出て来るのか分からんな」
「もう何でもありだ」
そんな声が大半である。
さすがにモンスターだらけの開拓初期や、機械群による襲撃などを体験したせいだろう。
地球の常識でははかれないものが出て来る事は当然という雰囲気があった。
驚きはするが、それもあり得るのだろうという者達が大半である。
むしろ、『こんな事あり得ない』などと考える者の方が例外と言えるほどの少数だった。
そうでなければこの場にいる事など出来ないだろう。
そもそも、異世界という存在そのものが常識から外れてるだろう。
そことトンネルで繋がってるという事が既にしておかしい。
何でこうなってるのかという疑問は抱くだろう。
だが、現実に存在してるものを否定するわけにはいかない。
今もそれは同じだ。
別の世界からやってきたのが、地球人類より巨大な者達だった。
そういう事実があるだけだ。
それをおかしいとかあり得ないという訳にはいかない。
驚きはしても無いものには出来ない。
ただ、あるがままを調べるしかない。
さしあたって偵察に出た者達は、巨人達を観測して観察する事になる。
その情報をもとに研究者達が分析を開始する。
そうやって何かしら解明していかねばならない。
科学とはそういうものだろう。
これまでの研究結果をもとに目の前の事実を否定する事ではない。
新しい事実が出て来たならば、それが何であるのか調べる事が科学である。
その為にもとにかく情報収集である。
遠巻きからの観測であるが、とにかく撮影をしていく。
そこから巨人達の日常をとらえていく。
彼等がどういった生活をして、どういった行動をするのか。
そこからどういった考えや思考をしてるのか。
推測でしかないが出来る限りの分析をしていく。
敵を知るために。
今後接触するにしても、相手が分からなければどうしようもない。
事前に分かるのであればとにかく何でも調べる事。
それが無駄な衝突を防ぐ事になる。
そして、衝突してしまった場合、速やかに相手を制圧するためにも。
どちらに転ぶにせよ、相手の事を知らなければならない。