141回目 本拠地突入 3
攻め込んだ人類側への反撃は大きなものだった。
そこかしこにいた敵機械が押し寄せてくる。
それらを撃破しつつ施設や設備を破壊せねばならない。
その負担は攻勢を凌ぐ以上のものになった。
敵にしてもここを破壊されたらまずいというのが分かってるのだろう。
それもあってか攻撃の手がゆるまない。
衛星軌道からの観測でも確認されたが、敵地にいるほぼ全ての敵が向かってきていた。
熾烈で苛烈な戦いになっていった。
もちろん退くわけにはいかない。
少しでも踏ん張り、施設を一カ所でも多く破壊する。
そうして敵の生産力を落としていかねばならない。
もちろん、限界が見えてきたら撤退する。
さすがに踏みとどまって敵をおさえる事が出来るとは誰も思ってない。
それは上層部も下っ端も同じである。
死守命令ほど馬鹿馬鹿しいものはなかった。
求められるのは、少しでも施設を破壊して回復までの時間を稼ぐ事。
そして、その間の敵の生産力を落とす事。
それがある程度達成出来たら即座に逃げ出すようにはなっている。
さすがに一度でどうにかなるとは誰も思ってない。
繰り返し攻撃を仕掛ける事で相手を倒していく事が狙いだった。
打ち寄せる波である。
一度やってきたら退き、再びやってくる。
それを何度も繰り返していく。
その繰り返し出砂浜を削り、岩をも砕いていく。
流れる水が少しずつ地表を削るように。
人類側がやろうとしてるのはこれだった。
程なく軍勢は引き上げ、その場を後にしていく。
やってきた敵は急いで施設に取りつき、破壊された場所を回復しようとする。
そこに長距離砲や空爆による攻撃が加えられる。
修理に取りかかろうとした敵が施設ごと破壊されていった。
これで更に敵の数を減らしていく。
それも砲弾と爆弾がある間だけではある。
尽きれば自然と攻撃もおさまっていく。
継続して攻撃が出来れば良いが、それが出来るほどの余裕は無い。
必要なだけ攻撃をしたら、そこで終わらせないといけない。
敵が飛び出して来た時の為にも、予備を残しておく必要がある。
続きは補給と補充が為された後でやっていく事になる。
時間のかかるやり方である。
だが、今できる事はこれしかない。
幸いにも敵の回復速度を上回る損害を与える事は出来た。
繰り返していけば多大な損害を与える事になる。
後退した部隊も、敵地の外に陣取っていく。
そこで補給を待ち、再度の攻撃を仕掛けていく。
増産体制に入っているので消耗品の補充も以前よりは早くなっている。
次の攻撃まで一ヶ月、長くても二ヶ月も待つ必要は無い。
その間に敵も施設を回復し、新たな機械を生産しているだろう。
だが、それ以上の敵を撃破する事が出来る。
防戦一方だった人類は、この日ようやく敵への攻撃を開始した。