14回目 別大陸開発に至る理由 2
「別大陸の方は、ある程度基盤が出来てきたか」
「第一陣の作業員が更地を作ってくれてるからな。
本格的な建設作業のための人員も送り込める」
「資材なんかも運び込まなくちゃならんが。
それを置いておく倉庫も造らないと」
「燃料置き場もな。
石油貯蔵庫とかはどうなってるんだ?」
「そもそもとして、港の方はどうなってる。
いつまでも浮き桟橋ってわけにはいかないだろ」
全てが必要なものである。
そして、どれもすぐには出来ないものである。
建設に着手しても、出来上がるまで最低でも数ヶ月。
ものによっては数年の時間がかかる。
浄水場に下水処理場、上下水道に送電線に変電所。
通信回線に道路に精錬加工所に各種工場などなど。
どれもこれも必要で、にも関わらず完成まで時間がかかるものばかりだ。
発電や浄水などは小さなものを持ち込んで設置してるが、それだけでどうにかなるわけもない。
早急に本格的なものを作らねばならない。
なのに、まだまだそれらを手に入れるには相当な時間が必要だった。
「人もそうだけど、資材の運搬もなあ……」
「一度に運び込める量は限られてるし」
「船が増えれば輸送量は増えるけど。
それをするにもな」
「船も足りないからな。
それに、そもそもこっちでの産出量が足りるかどうか」
輸送手段を確立しても、輸送する物が無ければ意味が無い。
その資源も新開市のある大陸ではまだまだ不足気味であった。
拡大を続ける都市や町の建造、様々な機器の生産に追いついてない。
欠乏になるほどではないが、必要な物資の注文予約は数年先まで埋まってる。
新たに別大陸の開拓や開発にまわすのも一苦労であった。
「現地で調達出来るようになればいいんだけど」
新大陸における鉱床などが発見され、そこから採掘が進めば、資源調達の手間は減るだろう。
だが、それまでにまだ時間がかかる。
一応、ある程度の目星はついてるが、現地の調査などもしなくてはならない。
そして、調査結果が良好でも、資源の在処を確実に特定するのはいまだに難しい。
科学は発展しているが、まだまだ全てを明らかにするには至らない。
採掘についてもそれは言える。
調査し、掘り始めてみなければ、そこに本当に目当てのものがあるのかはわからない。
どうしても博打になってしまうのが、鉱業の現実だった。
それでも、やらねば何も手に入らない。
救いなのは、それでも鉱床などを探り当てる技術が発展し、それほど外れを引かなくなった事だろうか。
「けど、そうのんびりしてるわけにもいかないし」
「出来るだけ前倒しで進めていかないと」
居合わせた者達は、そういって別大陸開発の目的、その真意に思いをはせていく。
何故に無理をしてまで他の大陸を開拓開発するのか。
新地道のある大陸すらもまだまだ手つかずだというのに。
「……間に合えばいいけど」
「こればかりはな」
「相手の出方次第だな」
そう言って企画部の者達は、張り出されたこの世界の地図に目を向ける。
新地道のある大陸から、現在開拓を進めてる大陸。
更にその先にある、もう一つの大陸。
彼等の目は、まだ人が踏み入ってもいないその場所に注がれていった。