135回目 時間の猶予があるうちに
幸いにも敵の動きはそれほど激しくはない。
第三大陸の機械群は回復につとめてる。
失った分の兵力を回復しようとしてるが、それには時間がかかる。
空爆の影響もあり、それほど大きな回復は出来てない。
それが安心出来る要因の一つではあった。
また、他の大陸の大穴からあらわれた存在も、それほど大きな動きは示してない。
ほぼ全ての勢力が大穴付近に小さな拠点を構築してる程度だ。
そこから周辺に探険に出てるようだが、その範囲はさほど広いものではない。
彼等にとっても新たな世界なのだろう、慎重に行動してるようである。
それに移動手段が発達してない勢力もいるようだった。
徒歩や馬などを使用してる所もある。
自動車などを使ってる者達もいるが、全てがそうだというわけではない。
勢力によって文明の発達段階に差があるようだった。
それが吉と出るかは分からないが、とりあえずの安心要因にはなりそうだった。
彼等が地球側の勢力に接触してくるまでに時間の猶予はある。
その間に機械群をどうにかしておきたかった。
とにもかくにも、機械群の勢力をどうにかせねばならない。
その為に第三大陸における輸送手段の確立も急がれた。
港から鉄道を敷き、輸送力を一気に上げていく。
まだ最前線まで開通してるわけではないが、これにより輸送力は大幅な向上を見せつつあった。
道路の整備も進み、港の周辺とそこから延びる道はかなり舗装されている。
突貫工事で建設されていくこれらが、後方からの資材を円滑に最前線に届けている。
それが進軍速度の向上に貢献していた。
食料に燃料、弾薬などなどが迅速に届かなければ先に進めない。
これらを運び込む道がととのう事で、前線部隊も先に進めるようになる。
幸い、この時期になると第二大陸の開拓開発も進んでいた。
ある程度の生産設備が稼働し始めた第二大陸は、自分達に必要な分を自給自足し始めた。
その為に他に回せる物資が出てきた。
第二大陸に振り分ける物資を第三大陸に持ち込める。
わずかながら、第二大陸で産出される物資が他に輸出されて始めもしている。
投資分の回収が少しずつ始まっていた。
おかげで第三大陸の前線は更に前進。
当初の予定である、敵地前まで1000キロの地点まで進む事が出来た。
すぐに空港などの建設も始まる。
また、爆撃目的の輸送機が2機追加された。
これまでの追加分と合わせ、合計14機となった輸送機による空爆は、更に激しく敵を襲う。
破壊される敵施設は今まで以上に増大し、敵の回復を大きく妨害していく事になる。
これにより次の敵攻勢は大幅に遅れるようになると予想された。
加えて航空部隊には更なる追加が為された。
自衛隊が保有していたF1戦闘機の再生産型である3号戦闘機。
その3号戦闘機を更に改修改良した4号戦闘機。
これらが最前線基地に投入されてきた。
航空基地の前進により、これらの航続距離でも敵地まで到達出来るようになったからだ。
これらも戦略爆撃に加わるようになる。
また、敵の攻勢の際には迎撃の為に飛ぶ事も考えられている。
他にも可能な限りの戦力が投入されている。
第一大陸の防備を疎かにしないギリギリの範囲で。
今まで以上に早い動きでこれらが為されている。
それだけ急いで第三大陸の問題を片付けたいのだ。
新たな勢力があらわれ、その対応もしないといけない。
悠長に時間をかけて第三大陸を対処をしてる場合ではない。
出来るだけ急いで敵を倒し、時間の猶予を少しでも確保する。
その為になりふり構ってはいられなかった。