127回目 予想を外れた敵の動きと、それへの対応策として出て来るいくつかのもの
日増しに増大していく敵。
対抗する為に出来る事は少ない。
最も有効な戦力の拡充も思うようにはいかない。
少しずつ揃えてはいるが、全てが満ち足りてるとはいえない。
これまでと比較すれば充実してはいる。
しかし、必要とされる戦力には届かない。
そんな状態が続いていた。
おかしな話になるが、敵が予想通りに侵攻してくれればこうはならなかった。
今回も集めた戦力で敵を撃破する事が出来ただろう。
前回と同程度の規模であれば、実行するのは容易い。
それだけの用意はしていたのだ。
しかし、それは残念ながら無駄に終わってしまった。
敵が動いてくれないのだからどうしようもない。
さりとて、こちらから侵攻するわけにもいかない。
依然として敵地までの距離は遠く、全軍で侵攻する為にはより多くの準備が必要になる。
効果的な攻撃を行うなら尚更だ。
相手の勢力圏に入ればそれで終わり……というわけではない。
そこを攻撃し、敵の施設を破壊していかねばならない。
そうでなければ敵の増加を止める事は出来ない。
出来なければ戦争は続く。
相変わらず交渉も出来ず、従って和平も結べない相手だ。
現時点でこの争いを止めるには、敵を殲滅するしかない。
なので、敵地に突入して施設を破壊するだけの戦力が必要になる。
それを用意するのは難しい。
更に先に進んで敵地の近くにまで拠点を作らねばならない。
人や物資を集め、一気に攻勢に出るための場所がだ。
当然ながら、そこまで前進しなくてはならない。
そうなると、敵地までの距離が問題となる。
こればかりはどうやっても解消出来ない大きな問題だった。
悪い話だけではない。
敵が攻勢を仕掛けてこなかった事で、時間を手に入れる事が出来た。
その時間で人類側はより多くの人員と物資と兵器を前線に送り込む事が出来た。
出来る限りの準備をととのえていった。
やる事は今までと変わらない。
だが、今まで以上の規模を用意は出来た。
それらがどこまで通用するかは分からなかったが。
だが、充分でないにしろ、戦力は揃える事が出来た。
迎撃するための施設なども作り上げた。
そのほとんどは塹壕や待避壕くらいではあった。
そんなものでも何もないよりは随分とマシであろう。
敵を迎え撃つ状態は今まで以上のものとなったのだから。




