116回目 第二回大攻勢 3
放たれた砲弾は最前列の敵に向かっていく。
ほぼ水平に進むそれは、最初の敵をとらる、難なく貫通していく。
装甲に包まれた敵戦車を相手にする為の砲弾である。
自動車程度の薄い外板を持つだけの機械など容易に貫通する。
それは内部構造をまとめて破壊してなお威力を失わない。
背中側の外皮を突破し、更に次の敵に。
その後も勢いをさほど殺す事無く突き進む。
隙間無く、というのが適切なほど密集してるせいもあるだろう。
次々に敵を貫通していった戦車砲弾は、容易く20体ほどの機械を破壊していった。
その攻撃は矢継ぎ早に行われていく。
自動装填装置により次弾の発射が早い。
その装填速度を用いて、3号戦車は次々に敵を撃破していった。
それも一体一体ではない。
直線上に並んだ敵をまとめてである。
その破壊力に戦車に搭乗してる者達も唖然とする。
「凄え……」
彼等も自分達の乗る戦車の砲撃がこれほどまでとは思っていなかった。
演習以外ではほとんど用いる事がなかったからだ。
例外的に、モンスターにどれ程効果があるのかということで、ドラゴンなどと対峙した事はある。
当然ながら大型モンスターの体などあっさりと貫通してしまう。
威力があるのはそれで確認済みであるが、それがどの程度のものなのかまでは把握出来てなかった。
さすがにドラゴンなどが群をなして襲ってくるという事はほとんどないからだ。
また、そうした場合でも20ミリ機関砲でだいたい対処が出来てしまう。
35ミリ機関砲でも過剰な火力と言われていた程だ。
なので、3号戦車の出番は実験的な出撃以外ではほとんど無かった。
そんな戦車の威力がこの時発揮されていた。
敵の外皮をものともせず貫通し、直線上に並んだ連中をまとめて片付けていく。
稼働していた敵は即座にガラクタに代わり、屑鉄置き場がそこに生まれていく。
後方から迫る新手も難なく撃破していく。
前に出た敵はほぼ例外なく残骸となって地面に墜落していった。
戦車砲でとらえられない敵ももちろん出て来る。
戦車の攻撃範囲から漏れるものはどうしても出てしまうので仕方ない。
だが、それらも随伴していた装甲車によって破壊されていく。
装甲車に搭載されてる35ミリ機関砲は、撃ち漏らしを零す事無くとらえていった。
戦車と装甲車の布陣は、押し寄せる敵の流れを止めていった。